松本・旭町小学校近くの旧商家の建物群「和泉町(いずみまち)五蔵」に、生花店「花屋彦兵衛」(松本市旭1、TEL 0263-31-6187)が11月9日、オープンした。
母屋の土間、約4坪を店舗として利用。床には真砂土(まさど)を入れ、ディスプレーには古い金庫やタンスなどを用いて、和の雰囲気に仕上げた。扱う草花も、和テイストのものがメイン。オリジナル草盆栽や季節の草花を用いた寄せ植え「草あわせ」と、和のモダンをイメージしたアレンジメント「花いけ」を用意する。
市内で2店舗を展開する「メゾンフルーリ」(東京都世田谷区)が、「和の花 信州松本」をコンセプトに出店。専務の佐々木久満さんが、20年ほどずっと温めてきた構想だという。店名は、佐々木さんの曽祖父・大黒屋彦兵衛が江戸末期から明治期に東京・日本橋橘町で営んでいた呉服店にちなんで付けた。江戸着物を研究し、伝統と先進を取り混ぜた江戸友禅の作り手だった彦兵衛をオマージュし、伝統とモダンを融合させたスタイルを目指す。同社松本エリア担当で、同店「番頭」の関澤さゆりさんは「和にこだわり、本格的なものを用意している。お客さまの用途や希望に合わせたものを提案したい」と話す。
建物群は、江戸時代には穀物、明治時代にはお茶を扱う商家だったという穂高家のもの。一時は壊して駐車場にすることを考えたが、現場を見た建築家から活用方法を提案されたことをきっかけに、母屋と蔵を改装した。穂高家の次女・千恵美さんが今年1月、奥の蔵に、アロマ&エステ店「ICOU~衣香~」を移転オープン。現在、母屋と3つの蔵の利用者の募集を行っている。
プロデュースを担当する建築士と商店主のチーム「そら屋」のメンバーで建築士・横山奈津子さんは「この場所には、フラワースタンドをイメージしていた」と話す。横山さんが、同社が開いているアレンジメント教室に通っていたことから、関澤さんに声を掛けた。関澤さんは佐々木さんに相談して初めて、「和の花」の構想を知ったという。「偶然が重なって、皆の思いが一致してこの場所ができた」。他の店の運営をしながら、その合間に時間を作って少しずつ準備を進めてきた。
「花があると目に留まるのか、立ち寄ってくれる人も多い」と関澤さん。「和の花の魅力を感じてもらえる場所になれば」とも。
営業時間は正午ごろ~日没ごろまで。月曜・火曜定休。