松本市美術館(松本市中央4)で開催中の前衛芸術家・草間彌生さんの作品展「草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて」に合わせ、トークイベント「草間彌生が生まれた理由(わけ)」が5月12日、同館多目的ホールで行われた。
同館では会期中の毎週土曜、「ナイトミュージアム」として開館時間を21時まで延長しており、それに合わせて計4回トークイベントを開催。同展での章立てに沿った解説を行い、展示内容をより深く理解してもらえるようにと企画した。
初回は約60人が参加。講師を務める同館学芸員・渋田見彰さんは「普通は2時間以上かかるので少し駆け足になるが、松本時代を詳しく紹介したい」と、作品や会場風景などをスライドで見せながら、草間さんが松本で過ごした時代に重点を置いて話した。
幼い頃、植物に囲まれて生活したことが作品のモチーフの原点につながっていることや、スケッチが日課だったこと、物心がついたときから幻覚などに悩まされながらも、絵描きになることを心に決め、病気と戦おうとしていたことなどを紹介。1952年、23歳の時に松本で初めて個展を開催したときの写真では、「モノクロなのではっきり分からないが、作品の後ろに張った幕は黒ではなく茶色だという指摘があったので、今回展示する際にも壁を茶色にした」というエピソードも披露した。
渡米後のインスタレーションや、ハプニング(パフォーマンスアート)、1973年に帰国した後の個展の様子などを振り返り、最新シリーズ「わが永遠の魂」の制作風景では「ご自身の人生を芸術にささげているのかもしれない」と渋田見さん。「現在、ここに至るまでの流れを知っていただけるような展示構成にしている。どんな思いで描いているのかを感じてもらえれば」と約50分の解説を締めくくった。
19日、6月16日、23日にも開く。開始時間はいずれも17時。参加無料(入館には特別展の観覧料が必要)。申し込みはホームページと同館(TEL 0263-39-7400)で受け付ける。