昨年12月に死去した歌舞伎俳優・十八代目中村勘三郎さんを写真や舞台衣装・小道具などで振り返る展示「十八代目中村勘三郎を偲(しの)ぶ」が、まつもと市民芸術館(松本市深志3、TEL 0263-33-3800)2階シアターパークで行われている。
写真家の篠山紀信さんが撮影した写真8点を特大のパネルにして展示。生涯を通じて大切に踊ってきた特別な演目だという「鏡獅子(かがみじし)」で使用したかつらや扇子、「身替座禅(みがわりざぜん)」で着た衣装など合わせて約30点が並ぶ。愛用のゴルフバックや家族写真からは、プライベートの勘三郎さんを垣間見ることも。
2008年以降、隔年で行われている「信州・まつもと大歌舞伎」の会場でもある同館。昨年6月に食道がんであることを公表した後、翌月から始まった「天日坊(てんにちぼう)」は病気療養中だったが、千秋楽の公演に飛び入りで登場。熱気と歓声の中、カーテンコールでは「必ず松本に帰ってまいります」と話した勘三郎さんだったが、これが最後の舞台となった。同12月には、「日本の伝統文化、歌舞伎を松本市に定着させ、市の芸術文化発展に大きく貢献した」として名誉市民の称号が贈られている。
同展は今月30日に同館で行われる、勘三郎さんの長男・勘九郎さんと次男・七之助さんらが出演する「芯」に合わせて企画した。「勘三郎さんが思いを寄せてくださった松本で、皆さんに見ていただければ」と同館担当者。「ゆかりの品や愛用の品から、あらためて思い返していただける機会になればと思う」とも。
開館時間は8時30分~22時(最終日は21時まで)。入場無料。9月30日まで。