陶芸作品を窯から出す様子を公開する「昇窯(のぼるがま)窯出しの瞬間(とき)」が5月11日・12日、北安曇郡松川村の「昇窯 やまもギャラリー」(TEL 0261-62-4278)で開催された。
月間イベント「工芸の五月2013」の一環。同所で作陶活動を行っている平林昇さんの作品をまき窯から出す瞬間を初めて公開、出した作品はその場で販売も行った。
11日は強い雨が降る中、100人以上の来場者が集まった。平林さんが「開ける瞬間をお見せするのは初めてなので、自分もドキドキします」とあいさつした後、窯の入り口に積まれたレンガを一つずつ丁寧に外していく。中の様子が徐々に見え始めると、来場者は貴重な瞬間を逃すまいと、じっと見入っていた。完全に入り口が開くと拍手と歓声が起こり、平林さんが「窯の中に入ってみたい方はどうぞ」と声を掛けると、一斉に入り口に向かう来場者。「みんな入っちゃうと出られなくなりますので順番に…」と呼び掛けると、笑いが起こった。
その後は、作品を窯の外に出す作業が行われた。つぼや花器、食器など1000点以上の作品をスタッフは手渡しで手際よく窯から出し、並べていく。来場者は好みの作品を手に取り、吟味していた。
平林さんの食器を使い、料理も振る舞われた。きな粉・あんこ・ゴマが付いたつきたての餅や、スタッフの手作り料理、日本酒などを用意。餅はまきの火でふかし、木臼でつくというこだわりぶり。抽選会も行われ、さまざまな楽しみ方をする人であふれかえった。
同イベントは、知人との食事の席での雑談がきっかけだったという。「ほかでやっているのを見たことがなかったし、初めてのことでどうなるかと思ったが、やってみることにした」と平林さん。近所の人や友人が30人以上集まり、スタッフとして手伝った。「本当に感謝。みんなが力を貸してくれたおかげでできたこと。多くの来場者の方にも喜んでもらえてよかった」と感無量の様子。「今後のことはまだ決めていないが、いずれはまたやってみたい」と話す。
同所に併設するギャラリーでは、今月16日~22日に「こんな器と暮らしたい。」、24日~31日は「伝えよう、この器に添えて。」の企画展を行う。営業時間は10時~17時。