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安曇野のギャラリーでガラスと陶器の企画展-再興の「珠洲焼」も

個性的な作風の4人の作品が並ぶ

個性的な作風の4人の作品が並ぶ

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 安曇野市の「ギャラリー・シュタイネ」(安曇野市穂高有明、TEL 0263-83-5164)で現在、ガラスと陶器の企画展「夏のシュタイネ58days」が開催されている。

浅妻克枝さんの作品。手前の鉢の縁は、見る角度によって色合いを変える

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 同展は浅妻克枝さん(安曇野市)のガラス作品と、ウエダキヨアキさん(兵庫県神崎郡)、中山達磨さん・昌果さん(以上、石川県珠洲市)の陶器作品を展示する。

 浅妻さんの作品はさまざまな色のグラデーションが特徴。大きな鉢は、全体的に薄い茶色だが、ふちはオーロラのような色合いを見せる。「ほかのガラス作家が『ここまで磨き込むのは自分にはできない』と言っていた。それだけ丁寧に思いを込めて作っている。浅妻さんの人柄が出ている作品」と同ギャラリーオーナー。透明なガラスの中に気泡のようなものが閉じ込められたオブジェは、ほかの作品とは変わった雰囲気を持つ。「気泡に見えるのは、ガラスの熱で溶けた真ちゅう。ただの偶然でなく、計算して出していると思う」

 昌果さんは同ギャラリーでの展示は昨年に続いて3回目で、父・達磨さんは初めての出展。達磨さんは、平安時代末期から室町時代にかけて珠洲各地で焼かれた「珠洲焼(すずやき)」を制作。戦国期にこつぜんと姿を消したことから、考古学会でも「謎の古陶」とされてきた焼き物だったが、1977(昭和52)年に再興された。達磨さんも再興に力を注いだ一人で、同展ではとっくりやつぼ、花器、ぐい飲みなどを多数出展する。黒くどっしりとした姿が特徴の珠洲焼は、穴窯に入れて高温で焼き締める製法。窯の中を煙と灰で充満させることで、作品にかかった灰が溶けて景色を生み出す「自然釉(しぜんゆう)」が、味わいと深みを持たせている。「とても存在感があり、比較的若い人が『こんなの見たことない』と興味を持って見てくれる」

 約2カ月間にわたり開催している同展。「1つの展示をこれだけの期間行うのは初めて。展示替えは休業して行わなければならないので、せっかく夏に安曇野へ遊びに来てくれた方に(休業で)がっかりしてもらいたくなかった」と同オーナー。「いろいろな作家に出会え、それぞれにいろいろな思いを巡らせてもらえるので、観光で来た方にも良いと思う」と笑顔を見せる。「観光シーズンの外出を避けていた地元の人が、そろそろ動き出したくなると思う(笑)。これだけそろった力作を、ゆっくり見に来てほしい」とも。

 作品は全て販売する。浅妻さん作品=2,730円~、ウエダさん作品=1,050円~、達磨さん作品=3,000円~、昌果さん作品=1万8,000円~など。営業時間は10時~18時。木曜定休。入場無料。9月9日まで。

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