北安曇郡松川村の「安曇野ちひろ美術館」(松川村西原、TEL 0261-62-0772)で現在、企画展「子どものための工芸展Vol.2」が開催されている。
昨年に続き2回目の開催となる同展は、「子どもに伝えたいもの、ずっと大切にしたいもの」をテーマに、県内外の作家9組の作品を展示する。出展は、片岡清英さん・紀子さん、日高英夫さん(以上、木工)、森友見子さん(紙)、山本葵さん、松原智仁さん(以上、金属)、翠川祥子さん(染め絵)、上野みどりさん(布)、松崎麗さん(陶器)、吉田慎司さん(中津ほうき)、KINTAさん(古材造形)。作品には、制作への思いをつづったプレートを添える。
松本市が市内の新生児に贈るファーストスプーンの制作も手掛ける日高さんは、離乳食用の食器とカトラリーを出展。厚めでなだらかな曲線を描く器で「幼いころから手仕事の物に触れることで、物を大切にする心を育んでもらいたい」という願いから制作した。翠川さんはげたと産着(うぶぎ)を展示。手拭いを使用した産着は、乳児の柔らかい肌をいたわって、縫い目を表に出す工夫を施す。
KINTAさんはライオンやキリンなど12種類の動物の姿の揺り椅子を制作。水性ペンキで描かれた木製のボディーと弾力のある牛革の座面で、トラや白クマなどは顔を立体的に作ってある。飯田市出身のKINTAさんは幼いころから動物が好きで、動物園に通ってよく絵を描いていたという。「動物の持つ骨格を把握した上で制作する。漫画にならず、リアルになりすぎないように心がけた」とKINTAさん。「デジタルのおもちゃではなく、もっと素朴でどこにもないもので遊べたらどんなに楽しく、夢見られるだろうと思って作った」。実際に乗って遊ぶこともできる。
画家・いわさきちひろさんの作品をメーンに展示する同館。「いわさきさんは世界中の子どもたちの幸せを願った画家。そんな彼女の理念に基づいて企画した」と同館の児玉文嘉さん。「館内にさまざまなジャンルの立体作品をちりばめているので、大人も子どもも楽しんでもらえると思う。新緑の美しい季節なので、風景と一緒に楽しんで」とも。
ミュージアムショップにある作品は販売も可能。モビール=3,000円、産着=3,150円、動物の揺り椅子=4万円など。開館時間は9時~17時。第2・4水曜休館。入館料は、大人=600円、高校生以下無料。7月10日まで。