松本の「瓦レコード」(松本市清水1)で6月5日、「平林岳志写真ワークショップ」が行われた。
先月から隔週で行っている同ワークショップは今回が3回目。北安曇郡池田町で「Grasshopper」として事務所を構えるフリーランスのカメラマン・平林岳志さんが講師を務める。全10回を予定するワークショップでは、単にテクニックを教えるだけでなく、「作品発表」と「主題の構築」に主眼を置く。終了後には数人による展覧会も企画する予定。「表現は伝えるためにある。撮影だけで自己満足するのではなく、伝えるための撮影ができるように」と平林さん。
当日は6人が参加。まずは平林さんが今回のテーマ「ポートレート」に合わせて写真集を紹介し、解説した。その後、各自が持参した写真をテーブルの上に広げ、撮影した状況、被写体との関係、伝えたいことなどをプレゼン。外国で撮影したものや、家族や友人のポートレート、廃虚、人形などそれぞれの個性を感じる写真が並び、参加者は雰囲気を確かめるように全体を眺めたり、一枚一枚手に取ってみたりしながら、感じたことを話した。「シャッターを押さないと上達しない。撮影して、迷ったときは紙にでもいいのでプリントしてみて」と平林さん。自身が撮影を始めたばかりのころの写真も披露。その中から数枚選んだものを並べると「作品」の雰囲気が生まれ、参加者からは感嘆の声が上がった。
平林さんは大学時代、東京の出版社でアルバイトをした際に写真の面白さに目覚め、写真の学校へ。その後、東京の制作会社、長野市の出版社を経て2007年に独立した。これまで、講習会などで教えることはあったが、撮影のこつや技術だけに終始しないワークショップをしてみたかったという。「デジカメが主流になり、写真はツールとしての裾野は広がっているが、反応をダイレクトに感じられる機会はなかなかない」と平林さん。自身も作品をどのように発表していくかを考えていた時期があったという。「この写真で伝わるのか、どうしたらもっと伝わるのかを皆で考え、感じてもらえる場にしたい」
「最初は何となく遠慮していた人も、2回目以降はいろいろ話せるようになった。皆、素直に反応を受け入れてくれている。人への言葉は自分に跳ね返り、糧になっていく」と平林さん。「いきなり写真を見せるのに抵抗がある人は、まずはオーディエンスとして様子見でも(笑)。生の声を聞けるいい機会なので」と参加を呼び掛ける。
次回は6月20日。開場=19時、開始=19時30分。参加費1,000円(要1ドリンクオーダー)。申し込み・問い合わせはメール(kawara-record@willcom.com)で受け付ける。