安曇野のギャラリーカフェ「BANANA MOON(バナナムーン)」(安曇野市穂高有明、TEL 0263-83-8838)で現在、企画展「道神面くんと信州の郷土玩具展 長野県中信編」が開催されている。
同展は、松本の民芸作家・宮田嵐村さんが作る「道神面」と中信地方の郷土玩具を展示。2009年から、宮田さんの作品を紹介してきた相澤和典さん(松本市)が代表を務める「ごっこ社」が企画した。「道神面を知ってもらおうと活動してきたけど、これだけでなく、郷土玩具や民芸品が持つ面白さや親しみやすさも伝えたかった」と相澤さん。
会場には道神面と郷土玩具・民芸品が並び、それぞれにメンバーで陶芸作品やイラストを制作する金井三和さん(安曇野市)が描いたイラストを添えて展示する。眉とひげが特徴的な「松本だるま」や木曽地方の「木曽駒」、シラカバの木を雪山に見立てた「登山人形」など。「そば喰(く)い猿」は塩尻市・奈良井宿の観光土産品で、木の板を引くと猿が大きな口を開けてそばを食べたり、のこぎりを引いたりするからくり人形。そば粉を濾(こ)すものと、麺棒でそば生地を伸ばす動きをするものもあるという。来場者は「かわいい」「懐かしいね」と展示を楽しんでいる。
「ごっこ社」は昨年、相澤さんと金井さん、「すみれ洋裁店」(諏訪郡下諏訪町)を営む小口緑子さん、イラストレーターの野村剛さん(塩尻市)の4人が設立した「郷土玩具を扱う夢の会社」。将来的には法人化も検討しているという。「仲間を集いみんなでアイデアを出し合うことで、一人では思いつかなかったものにたどり着けた」と相澤さんは話す。「もともとちょっと変なものが好きでいろいろ集めていた。宮田さんの作品に出合ったことで造形品に目が向いたので、道神面はとても思い入れの深い作品。このちょっと特殊で味のある道神面の復興は大切にしていきたい」とも。
「便利で暮らしやすい今の世の中だからこそ、機械では作れない素朴なものが必要。土地に根差したもの、先人が作りだした流れを見ながら、新しい息吹を出していければ」と相澤さん。今後は、新しい郷土玩具の制作や商品化も計画しているという。「地元にまつわる民話などからすくいあげた、地域性のあるものを作っていきたい」
販売も行う。道神面=2,950円~、松本だるま=700円~など。営業時間は9時30分~18時。入館料は500円(1ドリンク付き)。水曜定休。4月29日からは「すみれ洋裁店」で次回企画展を開催予定。