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コロナ禍の「街の文化芸術」~串田和美さん、あがたの森公園で独演

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6月3日~5日の3日間、あがたの森公園(松本市県3)で、まつもと市民芸術館芸術監督の串田和美さんが一人芝居を行った。

串田さんは2003(平成15)年4月にまつもと市民芸術館館長兼芸術監督に就任(現在は芸術監督)。「信州・まつもと大歌舞伎」や「空中キャバレー」、サイトウ・キネン・フェスティバル松本(現:セイジ・オザワ松本フェスティバル)との共同制作作品「兵士の物語」など、松本の街を賑(にぎ)わすさまざまな作品を手掛けてきた。閉園した保育園や「信毎メディアガーデン」が完成する前の空き地など、「箱」にこだわらない公演も行っている。

「月夜のファウスト」
舞台は公園内の東屋

今回の演目は「月夜のファウスト」。昨年の秋に「トランクシアター・プロジェクト」で県内11カ所と仙台と山形で公演したものを一人芝居にアレンジした。公園の東屋(あずまや)に用意したのは太鼓やハーモニカなどの楽器と、小さな机と椅子。開演は昼間の暑さが残る18時。鳥のさえずりや、カエルの鳴き声、池でコイが跳ねる音などが聞こえる中、徐々に日が暮れ辺りが暗くなるまで、串田さんは朗読や演奏を交えながら、約1時間半演じた。3日間で観客は約100人。上演後は、串田さんに花を渡したり、写真を撮ったり、会話したりする人の姿も見られた。「自分が思うこと以上のことを受け取ってもらえたと思う。見られなかったという人も含めて、皆が考える出発点になれば」と串田さん。

「月夜のファウスト」
串田和美さん

芝居の告知は5月25日、串田さん個人のフェイスブックで行われた。「突然ですが一人芝居をやってみようと思い立ちました」と松本にいる人に対して呼び掛け、一週間必死に稽古すると意気込んだ。多くの人から「いいね」やコメントが付き、県外在住の人からは「行きたいけど行けない」「追加公演を」という声も寄せられた。

串田さんは、今回の公演を単独で行う「プライベートなもの」という。「自分は、止まったら死んでしまうマグロのようなもの。(公演は)終わりが見えない状態で止められている自分自身の整理のためでもある」。舞台とした東屋は、串田さんが公園を散歩している途中で見つけた場所で、「やりなさい、と言われているようだった」と振り返る。施設管理者の市に許可を取り、上演することにした。

「月夜のファウスト」

コロナ禍で、文化芸術イベントは中止や延期に追い込まれ、再開の見通しも不透明な現状。ライブ配信などに取り組む劇団などもあるが、「自分はまだ、オンラインの演劇鑑賞はしっくりこない」と串田さん。先月、地元紙に掲載されたインタビューには「松本の文化演劇を、街なかでどう展開していったらいいかを考えている」という言葉があった。松本の文化や芸術がどうなるのか、まだ先行きが見えない状況だが、串田さんは「芸術文化は、経済や科学が発達するのと同じ速度で、発達すべきもので、バランスが大事。今こそ、そしてこれからも必要なものだと思う」と力を込める。

「月夜のファウスト」

 

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