書店「ブックスエコーロケーション」(松本市女鳥羽1、TEL 050-1321-9541)が松本城北側の通り沿いに11月18日、オープンした。
以前「モモセ貴金属店」が営業していた建物で、レンガ風の壁が特徴。店内は壁紙を貼って明るい印象に仕上げ、小上がりスペースも設ける。店舗面積は約7坪。
本は古本と新刊を用意し、現在は8対2ほどの割合。小説を中心に、地元にまつわる本や、雑誌、絵本などを並べる。テーマは「SFとボクらの場所」。店主の月元健伍さんは「置ける数は限られているが、なるべく幅広く紹介したい。とはいえ、自分の目を通してセレクトしているので、自然と特徴は出ていると思う」と話す。自身が好きなSF小説は、特に古本では流通しづらいというが、徐々に「濃いもの」を増やしていきたいという。
月元さんは岡山県出身。大学時代にアルバイトをしていた全国チェーンの書店に就職。1年目で長野県に配属され、県内各店で17年勤務した。「子どもの頃から本は身近な存在で、文章を書くのも好きだったが、就職先はいくつか考えたうちの一つだったので長野県に来たことも含めて想定外だった」と振り返る。
働きながら、2010(平成22)年から市内の喫茶店で読書会を定期的に開催したり、「一箱古本市」などのブックイベントに携わったりするうちに、本を通じたつながりが広がった。近年、地域に独立系書店が増えてきたことが後押しとなり、書店員の経験も生かして開業することを決意。物件は近くの古書店「books電線の鳥」の店主・原山聡矢さんから紹介されたという。「手が行き届く広さで、通り沿いだったところが理想的だった」と月元さん。夏ごろから、少しずつ準備を進めてきた。
店名は、動物が音や超音波を発し、その反響で距離や方向などを知る「反響定位」という意味。「読書を通じて自分の居場所を知ることができるように」という思いを込めた。店内には、ロゴに用いたクジラのアイテムを随所にディスプレー。今後は、商品の充実を図るほか、読書会も店内で開くという。「地域の皆さんが気軽に立ち寄れるような店にしていきたい」。近隣には個性的な書店が多いので、連携した企画もできれば」とも。
営業時間は12時~18時(4月~11月は10時~19時)。火曜・水曜定休。次回の読書会は「残像に口紅を」(筒井康隆著)で、12月21日16時から。参加費は500円。