松本・美須々の長野縣護国神社(松本市美須々6)に白蛇が描かれた巨大絵馬が飾られている。
絵馬の大きさは縦2.3メートル、横3.7メートル。市内のイラストレーター・古荘風穂さんが、物事が自然のままに手を加えられていないことの例えで、この世のものはそれぞれに自然の理が備わっているという意味の言葉「柳緑花紅(りゅうりょくかこう)」をテーマに制作。青々と茂る草木の中を10匹の白い蛇が這(は)う姿が描かれている。
古荘さんは福岡出身。両親に連れられて長野に移住し、高校卒業までを過ごした。その後、東京、福岡でグラフィックデザインを学び、2008年に松本へ。現在はイラストとグラフィックデザインの仕事を中心に活動している。
古荘さんが同神社の絵馬を描くのは3年目。それまで11年間、スプレーアーティストが担当していたものを引き継いで始めた。「神社の方が、少し変わった絵を描いてくれる人を探していたそうで…。私の絵を見て『面白い』と声を掛けていただいた」。毎年、11月中旬から2週間ほど神社にある弓道場を借りて制作。テーマも絵も全て古荘さんに一任され、サンプルを提出し、神社にチェックしてもらいながら進めている。「いつも『古荘さんらしい、他にはない絵にしてほしい』と言っていただけるので、張り合いを持って取り組める」
絵馬には、東日本大震災の復興への願いも込めたという。「描いた景色は、理想の風景を例えたもの。たどり着くには知恵や努力が必要で、困難も伴うが、乗り越えたときは必ずステップアップしている。乗り越えてもまた次の問題がやってくるが、それを繰り返す日々が自然なことで、すてきなことなのだと思う」と古荘さん。「絵馬の景色は極限に繁栄しているが、いつかは枯れるもの。でもそれは、その先の未来のために枯れるのだと思う。困難を怖がるよりも、新しい境地に達することを信じて進みたい」と話す。
絵馬は今年1年飾られる予定。普通サイズの絵馬も販売する(1枚1,000円、50枚限定)。