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松本・藤原印刷が「クラフトプレス」本 本を作る喜び伝え、作りたい人増やす

「『本を作る喜びをつくる』ことで、本を作る人を増やしたい」と藤原さん

「『本を作る喜びをつくる』ことで、本を作る人を増やしたい」と藤原さん

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 松本の印刷会社「藤原印刷」(松本市新橋、TEL 0263-33-5092)が、同社が手がけた「クラフトプレス」の図録集「クラフトプレスアーカイブ vol.0」の書店取り扱い準備を進めている。

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 クラフトプレスは同社が提唱する、個人や小さなグループのこだわりと思いを形にした本作りのこと。同書には2013(平成25)年以降に発行した107点を掲載する。1点ずつ見開きで紹介し、左側には書影や著者、ページ数、初版部数などのほか、用紙や製本・印刷方法などのデータを記載。右側には、本を作ったきっかけやこだわり、これから本を作ろうとしている人へのエールなどを載せる。同社専務の藤原隆充さんは「作り手の思いや制作過程を知ってもらうことで、『自分も作ってみたい』と思ってもらえれば」と話す。

 藤原さんは「以前から自主出版やリトルプレスといった言葉はあったが、自分たちが取り組んでいることにぴったり合う言葉を探していた」と振り返る。ヒントになったのはクラフトビール。「味もパッケージも個性的で、こだわりを追求している感じ」が重なり、3年ほど前にSNSでクラフトプレスという言葉を初めて投稿した。その後、共感して依頼してくれる人が増えるとともに、社内でも少しずつ浸透してきたという。

 2023年11月には「クラフトプレス推進宣言」を行い、ロゴも作成。東京を中心にイベントも展開している。現在は年間で100~200点を手がけており、「デジタル化が進む中、プラットフォームに左右されない、質感や重さが伴う本は、20年前とは違う価値が生まれている」と藤原さん。コスパやタイパ(タイムパフォーマンス)を重視する流れとは別に、「自分が作りたいものを形にしたい」という思いを持つ人がいることに手応えを感じている。「満足した本ができれば、自然と誰かに届けたくなる。本だけではなく思いも一緒に伝わることで、『自分も作ってみたい』という人が増えていく」とも。

 同書は10月に東京・神田で開催した「クラフトプレス展 at 神田ポート」でお披露目。11月6日からは卸販売を始めた。同社がクラフトプレスで本を作ったのは初の試み。「自分たちが作りたいものを考えたら、『お客さまの本をもっと知ってもらえる本』が浮かんだ」と藤原さん。「これからも、『作る喜びをつくる』ことで、作る人を増やすという循環を生み出していきたい」と意気込む。

 A4変型判、224ページ。価格は1,650円。オンラインでも販売する。

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