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松本市美術館で石井柏亭回顧展「えがくよろこび」 信州ゆかりの作品数多く

内覧会の様子

内覧会の様子

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 明治末から昭和期にかけて活躍した画家・石井柏亭の特別展「石井柏亭 えがくよろこび」が現在、松本市美術館(松本市中央4、TEL 0263-39-7400)で開催されている。

作品に描かれている場所を撮影した写真も合わせて展示

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 石井柏亭(1882~1958)は幼い頃から父・鼎湖に日本画を習い、16歳で洋画家・浅井忠に師事し本格的に画家の道へ。中央画壇で中心的存在として活躍した。1945(昭和20)年3月、東京大空襲により自宅とアトリエなど多くを失い松本・浅間温泉へ疎開。その後も制作を続け、亡くなるまでのおよそ13年間で1000点を超える作品を残した。制作活動の傍ら、若い画家への指導や美術団体の結成にも力を注ぎ、戦後の信州美術の再興と発展に尽力した。

 同展では、8歳から最晩年までの作品約100点を展示。4章構成で、第1~3章は年代順に並べ、「松本をえがく」と題した第4章では、信州の雄大な自然のほか、柏亭の元に集まり、支えた近隣の住民や、作家、文化人などの交流の様子を描いた作品なども紹介する。

 戦後の代表作「山河在」は、疎開した年に制作されたもので、中国唐時代の詩人・杜甫の詩「春望」の一説「国破れて山河あり」に由来。松本市郊外にある奈良井川と梓川の合流点を描くことに決め、浅間温泉から往復12キロの道を何度も歩いて通ったという。同館学芸員の中澤聡さんは「今の『ラーメン大学下田店』辺り。一度、浅間温泉から歩いてみたがやはり大変で、帰りは車で戻った」と話す。

 柏亭が使っていた油彩道具や水入れのほか、自身の作品の制作年やサイズ、技法、出品展覧会や所蔵などを書き留めた「画作控」も紹介。作品に描かれた場所を同館学芸員が探し、撮影した写真を添えるなど展示にも工夫を施す。

 市内での柏亭の大規模回顧展は初めて。期間中は、水彩画のワークショップ(11月3日)や学芸員によるギャラリートーク(10月25日、11月8日、24日)のほか、柏亭ゆかりの場所を巡る「柏亭探訪ツアー in浅間温泉」(11月16日)も予定する。中澤さんは「柏亭が信州の美術の発展に寄与してきたことを知ってもらえる機会にしたい」と呼びかける。

 開館時間は9時~17時(入場は16時30分まで)。入場料は、大人=1,500円(電子チケットは1,400円)、大学生、70歳以上の松本市民=1,000円(同900円)、高校生以下無料。月曜休館(休日の場合は翌日)。12月7日まで。

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