ガラス作家・若色正太さんの個展「luce soffusa-柔らかな光-」が現在、「手仕事扱い処(どころ)GALLERYゆこもり」(松本市浅間温泉3、TEL 0263-46-2066)で開催されている。
グラスや鉢、酒器、オブジェなど約100点を展示する。器は、アンバーからブルーのグラデーションの「碧水(へきすい)」と、薄い水色に細かい粒をまぶしたような「白嶺(はくれい)」の2種類。いずれも3色のガラスを重ねて作り、光の具合で色の見え方が変わる。
「seed」と名付けたオブジェは、表面に色を付けた球状のガラスのパーツを組み合わせ、削った後に再加熱している。芽のように伸びる部分は制作工程を改めたことで、より繊細な表現ができるようになったという。同ギャラリーをイメージして制作した深みのあるうぐいす色の作品もある。
「ガラスは、作家の意思の通りにならない部分が多い素材。ガラスに委ねる部分と自分のイメージ、その距離感を意識している」と若色さん。パーツを複数作って溶着し、大きな塊に造形した後、表面を削り出して磨いたオブジェ「光と色の表出」は、これまでの中で最も大きなサイズに挑戦したが、作品の内外の温度差で割れてしまったという。その後、それぞれのパーツを再加熱して削り、3つの作品に仕上げた。「自由な素材の分、扱いは難しい。ガラスから常にどういう表現をするのか問われているような気持ち」とも。
若色さんは1997(平成9)年、東京都生まれ。多摩美術大学美術学部工芸学科ガラスプログラム卒業後、「あづみ野ガラス工房」(安曇野市)を経て、一昨年から富山市ガラス工芸センターに在籍。「ガラスの持つ素材の魅力を伝えたい」と、ホットワーク、コールドワーク、キルンワークという3つの技法で制作に取り組む。
同ギャラリーの瀧沢一以さんは「手数が増えるのは大変なのに、若色さんはそれを惜しまず、作品に反映させる。昨年からさらに進化している作品も多い」と話す。レースのような模様が入った「brina」や透明なガラスに薄い青色のパーツを付けた「cell」など、新たな技術を用いて調整を重ねたシリーズも紹介。若色さんは「自分の技法は完成することはない。試行錯誤しながら、より多くの人にガラスの持つ多彩な表情を知ってもらえるような作品を作り続けたい」と意気込む。
作品は全て販売する。ぐい飲み=4,400円、ピッチャー=4,950円~、オブジェ=1万6,500円~など。営業時間は10時~18時。木曜・日曜定休。7月27日まで。