まつもと市民芸術館(松本市深志3)の芸術監督・倉田翠さんが主宰する「akakilike(アカキライク)」の新作ダンス公演「希望の家」が6月8日・9日、同館特設会場で行われる。
4月に芸術監督に就任した倉田さんが企画する公演の第1弾で、5年ぶりとなる劇場新作。5月29日から松本に滞在して制作している。倉田さんが手がける作品は、フィクションでありながら常に現実の自分自身と社会の間にある問題とつながっているという。新作は「信仰」がテーマ。人が何をよりどころとして生きていくのかを問い、「結婚」に着目して結婚式という構造を取り入れつつ、さまざまな背景を持つパフォーマーとダンスを繰り広げる。出演は、倉田さん、桑折現さん、白神ももこさん、前田耕平さん、吉田凪詐さん。
5月31日には、リハーサル体験ワークショップを行った。上演する新作の一部を用いて、倉田さんが普段どのように作品を作り上げていくのかを体験。参加した8人は、それぞれが思う「家」をイメージして動く。時々、倉田さんが1人ずつに「クモの巣を見つけた少女」「死んでしまった人と出会う」など声をかけたり、音楽を流したりする中で、参加者は動き続けた。
「お母さんのイメージで家の中を歩く」というお題では、動いている途中から「よく言っていた言葉」も声に出してみるように指示。言動を伴うことで、それぞれの「母親」の姿が浮かび上がるようになり、「みんなのお母さんは知らないけど、お母さんみたいだった」と倉田さん。後半は、見学していた桑折さんや吉田さんも参加して、熱を高めていった。
「体の中には、本当のことがたくさんある。体に出る反応を信用している」と倉田さん。参加者からは「新鮮な作り方だった」「体が勝手に言いたいことを言い始めたような感じがした」「複数の人が交錯するのが面白かった」などの感想が語られた。
6月1日には、稽古場の様子を公開する「OPEN DAY」も開催。作品の創作過程を知ってもらう機会を積極的に設けつつ、本番に向けた準備を進めている。同館担当者は「作品の面白さの原型を体感できる機会を設けたかった。松本での滞在制作で生まれる作品を見てもらえれば」と呼びかける。
両日14時開演。料金は一般=3,500円、U25=1,000円。9日の終演後は、倉田さんと、同じく芸術監督の木ノ下裕一さんによるアフタートークを行う。