松本市出身の和田萌監督が手がけたドキュメンタリー映画「ROPE」が4月14日、まつもと市民芸術館(松本市深志3)小ホールで上映される。主催はNPO法人コミュニティシネマ松本CINEMAセレクト。
アルパインクライマーの平出和也さんと中島健郎さんが昨夏、パキスタン・ティリチミール(標高7708メートル)の未踏の北壁に挑戦する姿を記録した短編ドキュメンタリー。昨年12月にスペイン・ビルバオで開催される山岳映画祭「メンディ映画祭」で上映され、ベストマウンテニアリングフィルム賞とベストサウンドトラック賞を受賞した。
和田監督は、標高5000メートル近いベースキャンプに滞在して2人を取材。山岳カメラマンでもある2人が撮影した登頂の様子を交えながら、互いに命を預けるパートナーとしての関係性を映し出す。「1人では行けないところに行くためには誰かの力が必要になる。2人を見ていると、『こんな関係が現代にあるのか』と思う」と話す。
和田監督は1983(昭和58)年生まれ。「山を眺めて育ったが、登山をしていたわけではない。ずっと文化系で、スポーツをするのは体育の授業くらいだった」と振り返る。松本蟻ケ崎高校を卒業後、映画監督を志して神奈川県内の映画専門学校に進んだ。
都内の制作会社に勤め、新人ディレクターとして働いていた頃に、平出さんと当時の登山パートナーだった谷口けいさんと出会った。谷口さんの人柄に引かれ、撮りたいと考えていたが、2015(平成27)年に谷口さんが滑落事故で亡くなり、それはかなわなかったという。その後、「弔い登山」としてパキスタンのシスパーレ(7611メートル)に同行。そこで初めて登山の面白さを知り、その後2人の取材を続けているという。「ベースキャンプまでの同行とはいえ、体力的にはきついが、自然の素晴らしさと、2人の関係性を見届けたいという一心で向かっている」とも。
当日は上映後のアフタートークに、和田監督、平出さん、中島さんが登壇する。和田監督は「クライマーの2人はかっこいいだけではなく面白さもある。映画はもちろん、2人の話も楽しみにしてもらえれば」と呼びかける。
上映時間は10時30分~11時45分、13時~14時15分。各回上映後にアフタートークを行う。チケット料金は、前売り=1,400円、当日は一般=1,800円、大学生以下=1,400円。