アパレルブランド「marble SUD(マーブルシュッド)」(東京都渋谷区)が2月22日、上高地(松本市)をモチーフにしたテキスタイルのアイテムを発売した。
上高地の風景を細密な線画で描いたテキスタイル「kamikochi」は、緑と青の2色あり、緑は朝から昼、青は夕方から夜をイメージしたという。同社の川村智也子社長は「今シーズンのテキスタイルの中で最初に着手したが、仕上がったのは最後になった。山並みと水が流れる様子を表すのに苦労した」と振り返る。
上高地に咲く「サンカヨウ」を刺しゅうしたテキスタイルは、濡れると透明になる姿を、花びらと朝露に見立てたドットで表現した。同社企画部の森山さやかさんは「残念ながら本物はまだ見たことがないが、ガラスのように透き通るさまを思い浮かべた」と話す。
13種類あるテキスタイルは、「NAGANO NATURE」をテーマにした2024春夏コレクションで展開。取れたての新鮮な野菜を写実的なタッチで描いた「veggie」、カモシカやライチョウ、ニホンザルなど14種類の動物を並べた「Nagano Nature」、野沢温泉の郷土玩具「鳩車(はとぐるま)」をモチーフにしたジャガード生地などもある。プリントや刺しゅうを施したTシャツやスエットは、県花のリンドウや、長野県のシルエットに合わせて、リンゴやそば、野沢菜のほか、松本城など名物や名所を散りばめたデザインも。今シーズンからオンライン販売で新たに始めたサービス「テキスタイルペーパー」や、毎年春に行うノベルティーキャンペーンでも、絵柄を活用する。
テーマに都道府県名を用いたのは初の試み。川村さんは以前、上高地を訪れた際に感じた「日本なのに、ちょっと異国のような雰囲気」という印象をいつかテキスタイルで表現したいと考えていたという。スタッフが集まり、「長野」からイメージするものを付箋に書き出して検討。千曲市出身の森山さんは「皆で考えることで、改めて魅力がたくさんあると感じた」と笑顔を見せる。リリース後は好評で、店頭では旅の思い出で盛り上がることもあるという。
同コレクションをきっかけに、県と「生物多様性保全パートナーシップ協定」を締結。これまで度々ライチョウをモチーフにしてきたこともあり、「ライチョウ保護スクラムプロジェクト」に寄付することに決めた。川村さんは「今後は、ライチョウモチーフのテキスタイルを使った小物類を作るなど、私たちらしい方法で保護を応援していくプロジェクトにも取り組んでいきたい」と意気込む。