見る・遊ぶ

松本市美術館で銅版画体験 須藤康花展に合わせ「技法知り、新たな見方を」

「じっくり銅版画体験」の様子

「じっくり銅版画体験」の様子

  • 13

  •  

 銅版画の技法を知り、体験する「じっくり銅版画体験」が松本市美術館(松本市中央4)で2月4日、行われた。

銅板に描画する様子

[広告]

 同館で開催中の企画展「須藤康花-光と闇の記憶-」の関連プログラムの一環。講師に「リン版画工房」(神奈川県藤沢市)代表の城戸宏さんを迎え、基本的な3技法のうち、エッチングとアクアチントを2日に分けて体験する。

 当日は、12人が参加。まずは城戸さんが、引っかくようにして描くエッチングの技法について説明してから、各自が作業に入った。用意してきた下絵の上にトレーシングペーパーを置いてなぞったものを、カーボン紙を用いて、薄く防食ニスを塗った銅板に写す。そして、ニードルなど先のとがったものを使って描画していく。出来上がったら、銅板を腐食液に1時間ほど付ける。その間は、展示室で須藤さんの銅版画を鑑賞した。

 描画した部分は腐食されてへこみ、その部分にインクを詰めて、プレス機で圧をかけることで刷る。城戸さんがへこみ具合を確認して、それぞれが試し刷りを行った。力を入れてハンドルを回し、プレスが終わって押さえていたフェルトをゆっくりとめくる。「ドキドキする」という人や、「おおっ」「わあっ」と声を上げる人、刷り上がりを見て「すごい」「すてき」などと声をかける人もいた。

 「最初とは思えないくらい皆さんよくできた」と城戸さん。最後に、次回行うアクアチントについて「黒から灰色の濃淡を、腐食の時間差と松やにの粒子の違いで表現する」と説明。試し刷りしたものを持ち帰って、どのようなトーンにするかを考えてくるように伝えた。

 同展は、30歳の若さで亡くなった須藤さんの回顧展。8章構成で、最終章の「光と闇の記憶」では、暗闇の中に光を感じさせる銅版画を言葉と共に並べた空間を演出している。ワークショップは、銅版画の技法を体験することで新たな見方を提案したいと企画した。今後は「楽しい紙版画体験」(2月18日、キャンセル待ち)、学芸員によるギャラリートーク(2月22日、3月8日)を予定する。

 開館時間は9時~17時(入場は16時30分まで)。入場料は、大人=1,000円、大学生、高校生、70歳以上の松本市民=700円、中学生以下無料。月曜休館(休日の場合は翌平日)。3月24日まで。

  • はてなブックマークに追加
エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース