実演やワークショップなどでクラフトと触れ合うイベント「クラフトピクニック」が10月14日・15日、松本・あがたの森公園(松本市県3)で開かれた。主催はNPO法人松本クラフト推進協会。
木工、陶磁、ガラス、染織、金属、皮革など約70組が出展。会場内には、ペーパーコードによるスツールの座編みやアクセサリー作り、革小物の手縫いやスプーン削りの実演など多彩なブースが並んだ。作家に道具の使い方を教わりながら工程を進める人や、交代で作品を仕上げる親子、完成したおもちゃを手に芝生で遊ぶ子どもたちの姿も見られた。
今年の招待出展は、安曇野市明科の「藁(わら)や」。鈴木由加利さんが稲わらを使って作った籠や鍋敷き、みごほうきなどのほか、こも編み体験のコーナーも用意し、素材に触れてもらえるようにした。「わらは美しく、大らかで優しい素材。わらを認知してもらえる機会ができて良かった」と笑顔を見せる。
鈴木さんは、大学で農山村の地域づくりについて研究。現地を訪れ、暮らしの中にあるわら細工に接した経験を持つ。2010(平成22)年、引っ越しを機に夫婦で米作りを始めたが、もみを取った後の稲わらがもったいないと感じ、活用できないかと考えるようになったという。ある時、日本民藝(みんげい)館で目にした、ふごという道具に一目ぼれ。作り方を調べて、本格的に取り組むようになった。「自分だったらこういうふうに使う、という普段の暮らしから生まれるものづくりをしている」とも。
開催は今年で20回目。毎年5月に行われる「クラフトフェアまつもと」の姉妹イベントとして、「ものを使う人と作る人が出会い、ものづくりの過程を楽しむ」ことを目的にしている。今年は松本周辺の保育園や小中学校に加え、高校にもポスターなどを配布しPRを行った。実行委員長の寺澤尚美さんは「親子はもちろん、より幅広い世代に足を運んでもらえるよう意識した。『次世代につなぐ』をキーワードに、種まきをしていきたい」と話す。