松本とその周辺地域の暮らし、人、ものづくりについて発信するウェブマガジン「組み立て」が3月8日、創刊した。
松本市を中心に、ものづくりに携わる人を取材して魅力を紹介する。更新は年4回で、3つのインタビューと1つのコラムが基本。初回は木の調理道具やカトラリーを作る「大久保ハウス木工舎」(松本市中山)の大久保公太郎さんと、隣で「Gallery sen(せん)」を営む妻の修子さん、昨年8月にビンテージショップ「REVONTULI(レヴォントゥリ)」(蟻ケ崎2)をオープンしたスタイリストの荻野玲子さん、「まるも旅館」(中央3)4代目の三浦史博さんのインタビューを掲載する。
聞き手は、「旅人インタビュアー」として実際に松本を訪れて執筆。今回は、編集者・ライターの川瀬佐千子さんが担当し、コラムも手がけた。編集長の中沢貴之さんは「旅人だからこその発見や、新しい見方を提示できれば」と話す。
インタビューの対象は、広い意味でものづくりに携わる人。仕組みを構築する人や、人と人をつなげる場をつくる人、新しい価値観にチャレンジする人なども取り上げていきたいという。今後は「旅人インタビュアー」をメインにしつつ、幅広い聞き手の記事や、ものづくりに取り組む人同士の対談なども想定。「ありのままの暮らしを聞くというスタンスで紹介していければ。季刊というゆったりしたペースだが、季節ごとにページをめくるように、ふと思い出して読んでほしい」とも。
中沢さんは、小学生の頃に松本に移住し、高校卒業まで暮らしていたという。新型コロナを機に多様な暮らし方をする人が増える中、自身も東京と松本の2拠点生活を始めた。「暮らしの価値観の見直しも進んでいると感じていたので、自分の状況を利用して何かできないかと考えていた」と振り返る。公募した聞き手150人が東京に縁のある150人にインタビューした書籍「東京の生活史」(筑摩書房)を読んで「私情を挟まず話を聞くということはシンプルだが面白い」と思ったことや、知人が運営するクリエーター向けのポータルサイトをヒントにして、ウェブマガジンを始めることに決めた。
2拠点生活で気付いた松本の魅力を「女鳥羽川のようにゆったりとした時間が流れているところ」と中沢さん。川辺を歩くと「松本に帰ってきた」と実感するという。「もう東京の方が長いので、今の松本は知らないが、その『知らない』という視点を大事にしたい。読者と一緒にリアルな『松本マップ』を描くことができれば」と意気込む。