松本市在住の画家・山下康一さんによる作品展が現在、井上百貨店本店(松本市深志2)6階のギャラリー井上(TEL 0263-33-2349)で開催されている。
墨絵や水彩画、日本画、スケッチ、40点を展示する。墨絵の題材は、常念岳や白馬三山、五龍岳などの山々。紙の白い部分を残しながら墨を塗り、立体感のある雪山や、にじみを使い雲を描く。山下さんは「墨なので失敗は許されない。背景の黒をむらなく塗れるようになるまで、およそ3年間試行錯誤した」と話す。横130センチ、縦80センチの大作、「北アルプス展望・松本」は、コロナ禍前に手がけた作品で、アルプス公園側から見下ろした風景を1カ月かけて描いた。冬の富山県に10年間通って完成させた作品、「月と剱岳」もある。
スケッチは、信州の春の風景や、個展で訪れたドイツの町並みを色鮮やかに描く。ほか、ポストカードや画録、エッセー集なども並べる。
山下さんは群馬県出身。中学生の時に登山と出合い、高校卒業後は「より登山ができる環境へ」と、信州大学へ入学した。在学中、独学で絵を描き始め、全国各地の個展で作品を発表。2010(平成22)年、「モノクロで山の厳しさを表現したい」と墨絵を描くようになった。その後、墨絵がドイツのキュレーターの目に留まり、2018年(平成30)年に同国フランクフルトで個展を開催。現在も時々、登山を楽しみながら制作活動に取り組む。
ほぼ毎日在廊する山下さん。山好きな人を中心に多くの人が訪れたという。「県内の人をはじめ、関東や愛知、北海道からわざわざ見に来てくれた人もいた」とも。今後は、春と秋にアメリカとドイツで展示を予定している。
作品は販売する。価格は、冊子=440円~、スケッチ=3万9,600円~、墨絵=6万6,000円~など。営業時間は10時~16時30分(最終日は15時まで)。1月24日まで。20日以外は山下さんが在廊予定。