陶芸家・長谷川正治さんの個展「使ううつわと飾るウツワ」が現在、松本・浅間温泉の「手仕事扱い処(どころ)GALLERYゆこもり」(松本市浅間温泉3、TEL 0263-46-2066)で開催されている。
皿やマグカップをはじめ、ドリッパー、花器、オブジェなど約240点を展示する。宇宙や楽器などを描いた黒と黄色のシリーズや、鮮やかな青色の「トルコ釉(ゆう)」、金属のような色合いの「ラスター釉」も。外側に波のような模様が入った皿は、ろくろを回して指で1筋ずつ付けているという。
新作のミルキーホワイトのシリーズは、ヨーロッパの昔の陶器をイメージし、乳濁釉を用いて制作。くすんだ青、ピンク、茶色などを使って花やチョウを描いた。「釉薬の上に絵を描き、定着させている。何層も重ねるとはがれることもあって、手間がかかる」と長谷川さん。これまで動物の絵は少なかったが、庭仕事をするようになって目にすることが増えたというチョウが加わった。「思い付いたものや好きなものを描いているが、握ったりつまんだりといった手の動作からヒントを得ているのかもしれない」とも。
ボクサーや、飛び込みをする人など、ユニークなオブジェも出品する。長谷川さん自身、4年ほど前からプールに通っているといい、「水に慣れるところから始めて、今では週に1度は泳がないと落ち着かないくらいになった」。ミルキーホワイトの皿に、プールに漬かる人を組み合わせた作品は、釉薬で水を表現して、泳がせるようなイメージに仕上げた。
千葉県富津市で作陶する長谷川さんは、妻・松浦唱子さんと共に陶芸教室「enfab」を運営している。同ギャラリーでの展示は、2005(平成17)年以降、個展・夫婦2人展を合わせて8回目。同ギャラリーの瀧沢一以さんは「常に新しいことに挑戦し続ける長谷川さんなので、次はどんな作品が生まれるのか、いつも楽しみにしている」と話す。
新たな作品には、「どこかで見て、自分の中に入ってきたものが反映されている」と長谷川さん。陶芸は、一度焼くと直せないところにも面白さがあるという。「最初はうまくいかないことのほうが多いが、やっていくうちに自分なりの形になっていく。父が鈑金(ばんきん)の仕事をしていて、直す様子を見ていたこともあり、だいたいのことはリカバリーできるし、何事も失敗にはならず、何かに生かせる」と笑顔を見せる。
作品は全て販売する。皿=2,420円~、カップ=3,850円~など。営業時間は10時~18時。日曜・月曜定休(5月29日は営業)。5月29日まで。