安曇野・穂高のギャラリーカフェ「月とビスケット.」(安曇野市穂高柏原、TEL 0263-87-7031)内に絵本を扱う書店「はこぶね書房」がオープンして3カ月が過ぎた。
ギャラリー内の棚に、店主の荒木洋平さんがセレクトした国内外の絵本を並べる。「感動したり、心が潤ったりするような、大人にも響くものを選んでいる」と荒木さん。15冊ほどを用意し、売れたら補充するようにしているという。
一冊一冊に短いコメントを付けたカードを添えるほか、詳しく紹介する「やっぱり絵本はおもしろい!」というチラシも制作。以前は、来店者が自由に書き込めるノートを置いていたが、「人の目を気にせず感想を寄せてもらえるように」と、新たに手作りの小さなポストを用意した。
荒木さんは東京の絵本専門店に10年以上勤務。2017(平成29)年、妻の絵本作家・まるやまあやこさんの出身地である安曇野に移住した。「とても良い所で、ゆくゆくは安曇野で暮らしたいと思っていた」と振り返る。移住後は宿泊施設で働き始めたが、絵本の仕事への思いは持ち続けていたという。
まるやまさんが友人に紹介されて「月とビスケット.」を知り、荒木さんも一緒に足を運ぶようになった。同店店主の鶴飼友紀さんと絵本の話をするうちに、「一角を使って、絵本を紹介してほしい」と持ち掛けられたという。その後、鶴飼さんが古物商を取得。どんな絵本を扱うかなどを相談しながら準備を進めてきた。まるやまさんは「絵本からたくさんメッセージを受け止めていて、以前、絵本専門店に勤めていた時も、お客さんに本を薦めているうちに感極まって泣いてしまうことがあったほど。一度、絵本から離れてしまったが、良い縁に恵まれた」と笑顔を見せる。
店名は、穂高神社のお船祭りと、まるやまさんのデビュー作「たんぽぽの船」から付け、ロゴには「ずっと残したい本」というコピーも添えた。荒木さんは「ネット通販で本を買う人も増えたが、書店には出会いの場としての役割がある。『いちばん小さい絵本屋さん』として、その機会を提供できれば」と笑顔を見せる。
営業時間は木曜~土曜の11時~16時。