中部山岳国立公園南部地域の魅力について考えるイベント「中部山岳国立公園南部地域×ウェルネスツーリズムの今とこれから」が3月7日、「グレンパークさわんど」(松本市安曇)で開催された。主催は環境省中部山岳国立公園管理事務所。
同地域は松本市と岐阜県高山市にまたがる山岳エリア。国全体のインバウンド政策の一つとして、2016(平成28)年から、環境省が地域の自治体や事業者と連携して「国立公園満喫プロジェクト」を進めている。温泉のほか多彩なコンテンツを組み合わせた滞在型旅行の一案としてウエルネスツーリズムに着目。現地調査やモニターツアーなどを実施している。
当日は2部構成。基調講演では、ウエルネスツーリズム推進の第一人者・琉球大学の荒川雅志教授が登壇した。ウエルネスの定義「身体・精神・環境の健康、社会的健康を基盤にして豊かな人生をデザインする生き方、自己実現」を提唱しつつ、あらゆる分野から参入可能なテーマであり、さまざまな人たちの連携や相互交流によって可能性が広がるとした。
後半は地元の事業者も交え、ウエルネスツーリズムの適合性・持続性・発展性についてパネルディスカッションを行った。現地調査を行った塚原緑地研究所(千葉県千葉市)の主任研究員・小山芳久さんは「ウエルネスに即してさまざまな変化ができるエリア。自然体験や温泉、食を絡めてコンテンツ化することで、ファンも増えるはず」と振り返った。環境省中部山岳国立公園管理事務所の森川政人所長は「目指すのは世界水準。地域の皆さんと一緒に取り組むことで、世界中の人たちから『行きたい』と思ってもらえる場所にしたい」と意気込んだ。
ひらゆの森(岐阜県高山市)営業部長の中本哲仁さんは、滞在型推進事業として取り組む2泊3日のツアーの様子を紹介しながら、「既存のツアーを磨き上げるためのポイントが、ウエルネスにつながるのでは」と話した。乗鞍高原などでアウトドアツアーを手掛けるリトルピークス(松本市安曇鈴蘭)の小峰邦良代表は「自然を満喫した後、宿で温泉や食事でゆっくりしてもらえるように、自分たちのような事業者と宿泊施設などが特徴を生かして連携していきたい」と力を込めた。
最後は、荒川教授が「自然の圧倒的な価値、本物の自然に勝る美はない。自然環境と体内環境の共生、持続可能を目指す『次世代ライフスタイル発信地』として、より発信力を高めていってほしい」と締めくくった。