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松本の洋食店「おきな堂」が地元生産者とコラボ 通販商品として開発

商品を手にする木内さん(右)、石綿さん(中央)、三澤さん

商品を手にする木内さん(右)、石綿さん(中央)、三澤さん

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 松本・中町の「時代遅れの洋食屋 おきな堂」(松本市中央2)が、地元農家と連携した商品開発を進めている。

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 同店は2017(平成29)年、松本・安曇野を中心に県内7軒の生産者の食材を扱う食のブランド「Chant Table(ちゃんと てーぶる)」を立ち上げた。以降、店内メニューとして展開していたが、新型コロナの影響で実際に足を運ぶ人が減り、「自宅でも楽しめるように」と、ネット販売用の商品開発に着手。2月中旬、定番メニューのハヤシソースとカレーソース、「安曇野三澤豚」を使ったソーセージ、ミートソースの4つから販売を始めた。店主の木内伸光さんは「コロナ禍で飲食業は厳しい状況が続いているが、作ってから販売するのではなく、売れるから作ろうという方針転換ができた」と話す。

 「安曇野三澤豚」は、三澤農場(安曇野市三郷小倉)がヨーグルトを与えて育てたもの。これまではロース肉をポークステーキとして店内で提供してきた。今回はバラ肉やウデ肉を使いメニューを開発。同農場の三澤伸幸さんは「私たちのような生産者は、直接お客さんと触れ合う機会は少ない。こういう『顔が見える形』で間接的なつながりができるのはありがたい」と笑顔を見せる。

 ミートソースは、「ハッピービレッジファーム」(松本市波田)のオリジナル品種「茜空(あかねそら)」を使い、濃厚な生トマトの風味を感じられるようにした。料理に合わせた品種改良に取り組む同農園の石綿薫さんは「一緒に取り組めるのは楽しいし、試行錯誤しながら個性的な野菜を作っていきたい」と意気込む。

 同店は1933(昭和8)年創業。木内さんは、大学を卒業して県内の金融機関に勤めた後、2005(平成17)年に家業の洋食店を継いだ。子どもの頃から食卓には、畑仕事もしていた創業者の祖父が作った野菜が並んでいたという。自身も10年ほど農業に取り組んだが、「納得できるものを育てるためには、果てしない努力が必要」といったんやめ、尊敬する生産者との協働に軸足を置いた。

 今後はスイーツなども含め、メニューの充実を図りたいという。「店のメニューと通販用の商品、それぞれの特性を生かして、『おいしさ』を届けたい。6次産業化の一例にもなれば」とも。

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