アートを通じた街の活性化とクリエイティブ産業創出を目指す「松本まちなかアートプロジェクト」が7月3日、開幕する。
メインイベントは、現在休館中の松本市美術館がプロデュースする「パルコde美術館」。松本パルコ(松本市中央2)の6階ワンフロアを美術館に見立てた展示「つながる箱 いま、ひらく、アートのチカラ」を開催する。郷土ゆかりのアーティスト12人の作品を入れ替えながら、来年2月28日まで4期に分けて紹介する。
第1期(8月29日まで)は、世界的前衛芸術家・草間彌生さん、彫刻家・大曽根俊輔さん、美術家・千田泰広さん、彫刻家・飯沼英樹さん、画家・須藤康花さん、写真家・佐藤大史さん、金属造形作家・中嶋明希さんが出展。作家ごとにブースを区切り、世界観を体感できるようにした。
乾漆という技法でさまざまな動物を制作する大曽根さん。マナティやコウテイペンギンのほか、初のお披露目となるオオサンショウウオやアンデスコンドルなどが並ぶ。「動物たちが引き立つ真っ白な空間で、ゆっくり見てもらえれば」と話す。
鮮やかなピンク色の空間で展示する飯沼さんの作品は、現代を生きる女性をテーマにした木彫り。使う木材は主にケヤキやヒノキで、木曽や安曇野など県内産のものもあるという。「作品はファッションとも相性が良いと思う。パルコは高校時代によく来ていたし、地元で見てもらえるのはうれしい」と期待を寄せる。
中嶋さんは、鉄や銅を用いて制作。庭の木や鳥など身近なものをモチーフにした作品は、「むかいあう」「くるんとする」「うねる」などのタイトルを付けた。「植物のフォルムは、動物の動きと似ていると感じることがある。種を超えて、同じ部分も違う部分もあるところが面白い」と言う。
池田町にアトリエを構える千田さんは、海外を中心に活動。月に数回、別々の国で展示を行うことも珍しくなかったが、「コロナ禍で、これだけ国内にいるのは久しぶり」と笑顔を見せる。仕切られた空間で自然光の移ろいを体感できるという「Brocken 5」は屋上に設置。天候や季節によってさまざまな見え方を楽しむことができる。
プロジェクトは、文化芸術の日常化やにぎわいの創出を目的に、市、松本商工会議所、松本商店街連盟、松本クラフト推進協議会などが実行委員会を組織して展開。今後は、アートやクラフト作品を楽しめる「コラボ店舗」の紹介や関連イベントなどを行う。
開館時間は10時~18時(最終入場は17時30分)。水曜定休。入場料は500円(中学生以下無料)、屋上は無料。