日本画家・田中藍衣さんの個展「Life」が現在、松本・深志のアートギャラリー&カフェ「awai art center(アワイアートセンター)」(松本市深志3)で開催されている。
大小合わせて8点の作品を展示する。田中さんが使用している岩絵の具は、鉱石を砕いて作られた粒子状の絵の具。粒子が大きく、粗いものを使っているため、混ぜても色が残り、一つ一つの粒が分かる。定着しにくいため、紙を床に置いて、塗るというよりは置くという感じで描いているという。
作品は、色を重ね、グラデーションの線を表現した「ポーズ」や、緩やかに流れる曲線と窓の桟のような十字の境界を組み合わせた「2つの並木」など、昨年から今年にかけて制作したもの。展示会のDMにも使った「庭木」は、葉が重なるように描かれ、立体的な印象を与える。構成するモチーフも絵の具も全て、「互いに平等な存在として絵の中で扱うことを心掛けている」と田中さん。「絵の中に『主役』を作りたくない。絵の表面に見えているものは平等であってほしい」と話す。
田中さんは1992(平成4)年、愛知県生まれ。愛知県立芸術大学美術学部日本画専攻から、同大美術研究科博士前期課程油画・版画領域に進み、2016(平成28)年に修了。「日本画を専攻していたので、岩絵の具は当たり前に使う画材だった。学校を出てから、なぜこれを使うのかを考えた」と振り返る。県内では初の個展。「話を頂いてうれしかったし、自分でもとても楽しみにしていた。これまでは郊外が多かったので、こんな街なかでは初めて」と笑顔を見せる。
展示に合わせ、テキストも用意。田中さんが意識している「垣根」や「境界」のこと、岩絵の具の説明などを記した。「画材について知れば、ほかの作品を見るときにも気になってくると思う。そういうきっかけになれば」と田中さん。来夏には第2期を開催する予定。「テキストにつづったことは、自分に対しての投げ掛けでもある。2期でその答えになるようなことをしたい」とも。
営業時間は12時~18時。火曜~木曜定休。入場料は400円(期間中再入場可)。10月11日まで。