陶芸家・長谷川正治さんの個展「うつわを楽しむひととき」が現在、松本・浅間温泉の「手仕事扱い処(どころ)GALLERYゆこもり」(松本市浅間温泉3、TEL 0263-46-2066)で開催されている。
皿やマグカップを中心に、花器、オブジェなど約300点を展示する。鮮やかな青色の「トルコ釉(ゆう)」と金属のような色合いの「ラスター釉」のシリーズは新作で、どちらも半年ほど釉薬を調整し続けたもの。トルコ釉は青でも微妙に明暗があり、窯で焼くときの温度でコントロールしているという。ラスター釉は、「金属っぽさを最大限に出したい」と、マンガンのほか数種類の金属を入れて光沢感を高めた。小さな人が乗っているようなふた付きのカップや、ロボットのようなオブジェなども用意する。
前回の展示で新作として紹介した黒と黄色が印象的なシリーズは、宇宙や花を描いたものを新たに制作した。長谷川さんは「今まで、花はかわいくなり過ぎるかと思っていたが、描いてみるとやはり黒に映える」と話す。
千葉県富津市で作陶する長谷川さんは、妻・松浦唱子さんと共に陶芸教室「enfab」を運営している。同ギャラリーでの展示は、2005(平成17)年以降、個展・夫婦2人展を合わせて7回目。当初、4月の開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期。これまで会期中は作家在廊日を設けていたが、今回は中止して、代わりにオンラインで長谷川さんに質問できるようにしている。
長谷川さんは他所で予定していた展示会も延期・中止になったというが、「家にいる時間が増えたので、工房の仕事や釉薬作りにじっくり取り組むことができた。これを機に、研究を進められたものもある」と前向きに捉える。同ギャラリーの瀧沢一以さんは「長谷川さんの、腹のくくり方というかタフネスな面をあらためて感じた。定番も、新たな挑戦も見てもらえれば」と話す。
作品は全て販売する。皿=2,420円~、カップ、小鉢=2,970円~など。営業時間は10時~18時。木曜・金曜定休。9月27日まで。通常行っているお茶出しはやめ、マスクの着用や名前と電話番号の記入など対策を講じて開催する。