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松本の老舗銭湯「富士の湯」が改修 父子2人で「古き良き銭湯」魅力伝える

4代目の憲瑞さんと3代目の父・憲二朗さん

4代目の憲瑞さんと3代目の父・憲二朗さん

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 松本・本庄にある老舗銭湯「富士の湯」(松本市本庄2、TEL 0263-36-5395)が浴室などの改修を行い、リニューアルして1カ月が過ぎた。

リニューアルした女湯の様子

 創業は1936(昭和11)年。これまでにも何度か改装は行ってきたが、今回は創業当時からほとんど変わっていないという浴室のタイルや、男子トイレ、入り口の柱や窓などを新しくした。4代目の阿部憲瑞さんは「なるべくこれまでの雰囲気を残しつつ、老朽化しているところを改修した。お客さんに『すごくきれいになった』と喜んでもらっている」と話す。

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 7月15日の営業を終えてから改修のために休業。当初、できる範囲のことは憲瑞さんと3代目の父・憲二朗さんの2人で行うつもりだったが、予定よりも作業量が増えたため、SNSでボランティアを募集。地元の学生や憲瑞さんの後輩など約20人が集まった。「こんなに多くの人が協力してくれるとは思っていなくて驚いた。クーラーもない中で作業してくれて感謝している」と憲瑞さん。

 今年24歳になるという憲瑞さんは、子どもの頃、祖母と番台で一緒に過ごしたと振り返る。大学進学で上京し、そのまま暮らしていたが、1年前に富士の湯を継ぐことを決めた。「3年前に祖母が亡くなり、経営も厳しかったので、父からは続けるのは難しいと言われていた。でも、自分にできることがあるのではないかと思った」。まずはSNSで情報を発信することから始めた。

 近年は「銭湯ブーム」とも言われているが、「うちは有名な銭湯とは違うと思っていた」という。しかし、発信を続けるうちにほかの銭湯とのやり取りが生まれ、徐々に考えが変わってきた。「実際に銭湯に行くと、そこで別の銭湯を紹介してもらって、また行くと、紹介してもらって…。人気の銭湯はちゃんと理由があることが分かった」。全国各地の銭湯を訪ねて取り組みを聞きながら、現在は東京で修業を積んでいる。

 富士の湯は、湧き水を地下からくみ上げて使用。男湯のタイルはメインが水色でピンクがアクセントに、女湯のタイルは逆の組み合わせになっている。2つの浴室を仕切る壁には、富士山を描いたパノラマ絵を飾る。庭にある、富士山から持ってきたという大きな岩が銭湯名の由来になっている。

 今後は、「横のつながりを意識して運営のノウハウなどを共有しながら、新たな取り組みができれば」と憲瑞さん。学生時代からバンド活動をしていることもあり、音楽と銭湯のコラボを実現したいという。古くからの常連客には、「待っているよ」と声を掛けられることもある。「松本の銭湯を一つもなくしたくない」と意気込む。

 営業時間は15時~20時(最終受け付けは30分前)。火曜・木曜・日曜定休。