松本の飲食店運営会社2社と、塩尻の飲食店プロモーションを手掛ける会社が、弁当や総菜を宅配するサービス「松デリ」を5月27日、スタートした。
注文は、「松デリ」のウェブサイトから行う。配達エリアは松本駅から半径3キロ以内で、3,000円以上の注文から配達が可能。代金は、商品を受け取る際に現金で支払う。現在、4店舗12商品を用意する。
立ち上げたのは、動画で飲食店をプロモーションする「イルカラ」(塩尻市)と、居酒屋「風林火山」など飲食店を展開する「喜笑堂」(松本市)、日本酒パブ「SAKE PUB」を経営する「オールインクルーディングジャパンダイニング」(同)。3社とも、以前から食にまつわる事業を行っており、コロナ禍で「街の飲食店の元気がなくなっている」「飲食店の売り上げにリンクして食材や飲料などの出荷量も下がっている」など共通の課題を抱えていたという。「イルカラ」社長・小林諒佑さんは「地域の文化の衰退につながるという、強い危機感を持っていた」と話す。
デリバリー事業を始めるに当たり、飲食店側の声を聞き、オペレーションにできるだけ負荷をかけないような方法を検討。収束後に実際に足を運ぶきっかけになるようにも心掛けた。「単に食事を届けるだけではなく、コミュニケーションが生まれるようにしたかった」と小林さん。飲食店や生産者の思いを伝えるための動画なども制作している。
サービス開始から約1カ月。飲食店からは「オペレーションがスムーズにできている」「デリバリーの売り上げが上がった」、利用者からは「素早く対応してもらえて、楽しくおいしい食事ができた」などの声が寄せられているという。「今こそ、地域の食文化を知ってもらうチャンスだと思っている。地元の人に地元のことを知ってもらうきっかけになれば」と小林さん。現在、登録店舗も募集中。「地方にデリバリー文化を根付かせたい。食事だけではなく、情報も届けることでより喜んでもらえるサービスにしてきたい」と意気込む。