地元作家4人が制作した県鳥の雷鳥をモチーフにした「雷鳥張子」の夏毛バージョンが、現在、販売されている。
「松本らしい土産品を作りたい」と2015(平成27)年にスタートしたプロジェクト。年に2回、夏毛と冬毛の新作を発表している。画家・小沢夏美さんと、紙の箱作家・Akane Bon Bonこと梅川茜さんが制作し、書店「本・中川」(松本市蟻ヶ崎2)の店主・中川美里さんがしおりを手掛けている。
5年目を迎えた今回は、彫刻家・大曽根俊輔さんと写真家・モモセヒロコさんがゲストとして参加。3月上旬に5人で、ライチョウを見るために大町山岳博物館へ出掛け、構想を膨らませた。
小沢さんは、サイドカーのように並ぶつがいを手掛けた。「前回の冬毛が終わってから、これまで取り組んだことのないつがいにしようと思った」。梅川さんは、郷土玩具でよく見かける首振りタイプ。動きがほかの鳥とかぶらないように工夫したという。
ゲストの2人は、夏毛の縛りはなく自由に制作。型の上に漆で麻布を張り重ねる乾漆という技法を用いる大曽根さんは、「真っ白は漆では難しい。ふわふわした冬毛を表現するのに苦労したが、学ぶところがたくさんあった」と振り返る。モモセさんは緑のハイマツの上に乗るライチョウと、おにぎり型のライチョウの2種類を用意し、箱にはポートレートも入れる。「張り子は初挑戦だったので、教えてもらいながら作った」とモモセさん。
「松本土産」として取り組んでいるため、これまで通信販売は行ってこなかったが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、通常の取扱店に加えて初めてネット販売を行うことにした。「年々、反応も良くなってきている感じがある」と梅川さん。今シーズンで、メンバーとしての活動を終了する小沢さんは「今まで応援してくれた皆さん、楽しみにしてくれた皆さんには感謝の気持ちでいっぱい。張り子をきっかけに、ライチョウの魅力が多くの人に伝わっていればうれしい」と話す。
価格は各3,500円。市美術館(中央4)やカフェギャラリー「ガルガ」(深志3)などのほか、7月末まではインターネットでも販売する。