画家・松森清昭さんと陶芸家・田中一光さんの2人展「情景図鑑-蒼(あお)い誘惑-」が現在、松本・中央の伊藤石材店(松本市中央3、TEL 0263-32-5265)2階「ギャラリー自遊石」で開催されている。
松森さんは、青色の濃淡や明暗を使って表現した約20点を展示。列車や船、森の中の家などを月明かりが照らす、幻想的な雰囲気の作品が並ぶ。「静めるような気持ちで、青を使うようになった。月があることで動きが出るし、何か波動が起きればと思って」と松森さん。作品の中には、「アマビエ」を描いたものもある。
田中さんは、カップや皿、ボウルなど約100点を出品する。単色のもの以外にも、鮮やかな紺色やくすんだ水色などに白やグレーを組み合わせたものなど、バリエーション豊かな「青」を使用。デミタスカップなど小ぶりなものや、高台の付いた大きめのボウル、丸皿や八角皿、長方形の板皿など幅広く用意する。
松森さんは美術教師として勤務しながら制作を続け、今年3月に定年を迎えた。「今後も絵を描き続けていきたい。今はいろいろと大変な時期だが、情緒に触れていないと、心がささくれてしまう」と話す。
同ギャラリー店主・伊藤博敏さんは、松森さんの中学校美術部の先輩。「当時の部員で今も作品を作り続けているのは、自分と松森さんの2人だけ。退職の記念というか、新たなスタートになればと企画した」と伊藤さん。同じく「青」をテーマに作陶する田中さんに声を掛け、コラボが実現した。
例年、「工芸の五月」に合わせて行っている企画展「情景図鑑」は10回目。「工芸の五月」は県内外から多くの来訪者を迎えるイベントであることを考慮し、今年は中止となった。「予定していた展示が延期になったり、公募展が中止になったりしているが、アートやクラフトの灯を消さないようにしていきたい」と伊藤さん。感染拡大防止の対策を取って、同展は開催することにした。「ルールを守り、『三密』にならないように、お互い気を付けながら、少し和みに来てもらえれば」とも。
営業時間は10時~17時。5月17日まで。