まつもと市民芸術館(松本市深志3)が昨秋スタートした、舞台芸術を育てて日本全国へ発信するプロジェクト「まつもと演劇工場NEXT」の成果発表会が3月31日、旧幸町保育園(埋橋1)で行われた。
講師を務める同館芸術監督の串田和美さんが「受講生が『演劇ってなんだろう』と考えて、試行錯誤しながらいろいろなものからチョイスして作り上げた」とあいさつ。関係者や近隣住民などが鑑賞した。
「本科コース」を受講する13人と、同館を拠点に活動する演劇集団「TCアルプ」の5人が出演。プロローグと7つの場面で構成するオムニバス作品を上演した。プロローグでは松本の町並みが浮かび上がるような情景が描かれ、「他人の手紙を読まなければならない話」や「女子高でひたすら源氏物語を読む女性教師の話」など、身近な設定の中にある異世界のような物語が次々と展開した。
プロジェクトは、ワークショップが中心の「週末コース」と本格的なプロの俳優を目指す「本科コース」の2コースで、昨年10月開始。「週末コース」は、地元の人たちを中心に12人が半年間ワークショップに取り組み、3月16日に成果発表会を行った。
「本科コース」は週5日、基礎から応用まで1年かけて学んでいる。受講生の約半数は、県外から移住して参加しているという。3月からは、以前、串田さんが作品を上演した同保育園を、天井を直したりトイレを整備したりして使えるようにし、発表会に向けて準備を進めてきた。後期は劇作家・演出家の加藤直さんと新たな作品作りに取り組む予定。同館担当の土屋和歌子さんは「今回のフィードバックを生かしながら、夏ごろの上演を目指して練習をしていきたい」と話す。