郷土玩具や縁起物をモチーフにした張り子を手掛ける前田ビバリーさんの個展「春の張り子展」が現在、松本・大手の「飯田屋飴店」(松本市大手2、TEL 0263-32-1983)に新設された「ギャラリー807(はちまるなな)」で開催されている。
おひなさまをはじめ、だるまや大黒、鯛などの縁起物をかたどった張り子を中心に約50点を展示する。丸みが愛らしい犬張り子は、定番のザルをかぶったものと、でんでん太鼓を載せたものを用意。ミミズクは赤やピンクなどカラフルに仕上げた。
おひなさまは、立ちびなタイプと、丸い箱のようなタイプの2種類を用意。衣装の色や柄もさまざまで、おびなとめびなは、好きな組み合わせを楽しむこともできる。ほかに食膳に置くと幼児の胸のつかえを防ぐという江戸土産の「ひねり鳩」や、粘土細工、ミニサイズのお面も並ぶ。
前田さんは東京在住。郷土玩具に興味を持ち、張り子作りを始め、張り子作家・荒井良さんに師事した。2017年には「おもしろ張り子」(グラフィック社)を出版。現在は作品の展示や販売のほか、張り子教室やワークショップも展開している。
同ギャラリーは、老舗あめ店「飯田屋製菓」が今年1月、店舗の一角に新たに設けたもの。店舗前面の棚に飾った折り紙やクラフト作品を見たり、撮影したりする人が多かったことから、ギャラリーとして活用することにした。専務の伊藤雅之さんは「松本にはあめ文化があり、あめも古くから根付いている一つのクラフトと言えると思う。あめを買い求める人とクラフト作品に興味がある人が、それぞれ新たな魅力に出合う場にしたい」と話す。
同社社員で、民芸品を展示する「おっとぼけ美術館」(里山辺)の館長を務める相澤和典さんが以前合同展をしたという縁で、前田さんの個展が実現した。「前田さんの作品は、伝統的な張り子をベースに、色や形を工夫することで現代の部屋に飾ってもなじむ。春らしい作品が並んだので、足を運んでもらえれば」と相澤さん。
価格は、張り子=2,160円~、「オヒナサマペア」=2,700円、粘土細工=972円~など。営業時間は9時~18時。3月24日まで。