まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」の削減をテーマに、松本市が原作を公募して製作した絵本「もったいないぞう のこさんぞう」が完成した。
昨夏に原作を公募。全国から78点が寄せられ、最優秀賞には安曇野市在住の赤間まゆみさんの作品が選ばれた。作画は県内出身のお笑い芸人・もう中学生さんが担当。2頭のゾウが集めた残り物がレシピを活用しておいしそうな料理に変わる様子を、柔らかくほのぼのとしたタッチで描いた。
2月19日には、市南松本保育園(松本市南松本1)でお披露目と表彰式典が行われた。赤間さんは「市の公式ツイッターで公募を知り、もう中さんが『もったいないぞう~のこさんぞう~』と言っているイメージが浮かんだ。この絵本をきっかけに、市の取り組みがさらに広まれば」と受賞の喜びを語った。
もう中学生さんは、園児約90人に読み聞かせを行った。特大サイズの絵本を手に、時々アドリブも交えながら読み進めると、笑ったり、文字を一緒に読んだりする園児たち。読み終わると「面白かった」「もう1回見たい」と声が上がった。「食べ物は~?」という問い掛けに「残さない!」と元気に答えると、もう中学生さんは「お利口!」と笑顔を見せた。
この日のために用意したゾウの姿で登場すると、鼻を触って喜ぶ園児や、微妙に怖がる園児も。園児たちはお礼に歌を2曲歌った後、もう中学生さんと一緒に給食を食べて、交流を深めた。
もう中学生さんにとって、絵本の作画を手掛けるのは初めて。「自分にはこういうことはできないと思っていたが、形になり、夢のような気持ち。子どもたちの反応も良くて、涙が出そうになった」と話す。「自分自身も普段から食べ残さないよう心掛けているので、それを伝えようと思って描いた。たくさんの人に読んでもらって、食べ残しが減ればうれしい」とも。
絵本はB5変形判、24ページ。700冊作製し、市内の保育園、幼稚園、小学校、図書館、小児科や歯科医院に配布するほか、市のホームページでも公開する。