松本・浅間温泉の「手仕事扱い処(どころ)GALLERYゆこもり」(松本市浅間温泉3、TEL 0263-46-2066)で現在、陶芸家・西山光太さんによる個展が開かれている。
「西山光太陶展III -白、黒、青、彩。-」と題し開かれる今回は、皿、カップなどの食器や酒器、花器など約250点を展示する。耐熱の器や土鍋、ドリップポットや大型のつぼなども。粉引きやあめ釉(ゆう)、黒釉などシンプルなものからカラフルなものまで、多彩な作品が並ぶ。
彫り文様を施し、独自の技法で彩色した「彩文」シリーズは、鮮やかな発色の磁器と、土らしさを感じる渋い色合いの陶器の2タイプを用意する。取っ手の裏や高台の側面などに模様を入れ、「収納した時や洗った時など、ふと目に入るような、何気ない瞬間でも楽しめたら」と西山さん。縄文や弥生土器、アフリカの器など、プリミティブなものからインスピレーションを受けているという陶器は、炭やもみ殻、貝を使って独自の炭化技法で焼いたものも。「意図して作れるものではないが、ちょうど紅葉のような色になった」と笑顔を見せる。
西山さんは2010年、千葉県館山市に移住し築窯。全国各地で個展などを行いながら、徐々に地元でも展示を行うようになった。今年4月、手仕事の地産地消をテーマにした「南房総の暮らしをつくるデザイン&クラフト展」では、地元の土を使った「あわ焼」を発表。「南房総の土は陶器には向かないと聞いていて、実際に失敗もしたが、何度か繰り返してちょうどいい温度が見つかった」。学生時代、「米を作る人の思い」と「器を作る人の思い」をテーマに、新潟の休耕田の粘土で作っためしわんとその土地で収穫した新米を贈り合い、ホームステイなどで親交を深めた交流合宿を思い出したという。「『あわ焼』は、地域産業のプロダクトとしての可能性も感じている。今後もプロジェクトのような形で進めていければ」
同ギャラリーでの展示は3回目。「これだけバリエーション豊富に展開できるのが西山さんのすごいところ。作家の目線と使い手の目線のバランスが取れていて、自分の中に落としどころも持っている」と同ギャラリーの瀧沢一以さん。「『あわ焼』も含め、今後どのように展開していくか楽しみ」と期待を寄せる。
作品は全て販売する。小皿=1,600円~、カップ=2,800円~、土鍋=6,500円~など。営業時間は10時~18時。木曜・金曜定休。11月26日まで(同19日は臨時休業)。同25日・26日は西山さんが在廊する。