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松本のアートギャラリーで「ダムの底」 1階と2階使い「揺らぎやすい境目」表現

1階は武政さんの作品を展示

1階は武政さんの作品を展示

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 松本・深志のアートギャラリー&カフェ「awai art center(アワイアートセンター)」(松本市深志3、 TEL 090-2427-4374)で現在、アーティスト・太田遼さんと武政朋子さんによる企画展「ダムの底」が開催されている。

2階は太田さんが空間全体を使った作品を展開

 1階は武政さんの作品を展示。モニターは、写真をプリントした紙を水の上に置き、水が染み渡っていく様子を映し出す。写真は武政さんの家族や松本の町並みなどで、「写真には何らかのエピソードがあるが、紙にプリントすることでそれを一度取り払って、ただの印刷物にしている」と武政さん。壁やテーブルには、撮影後の紙に色を塗ったものや、色を塗った紙を水に浸したものを並べる。

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 2階は太田さんが、空間全体を使って作品を制作。木枠とビニールで仕切られた空間は、窓の外とつながっていて、中央に置かれた座椅子とクッションに座ると、頭の部分が仕切られた空間に入るようになっている。「屋内と屋外は区別されている気がするが、それを隔てる建物があるのは一瞬のこと。境目は強固ではなく、揺らいでいる」と太田さん。直視するのが難しい位置に置かれたモニターからは、太田さんと武政さんの「夫婦の何気ない会話」が流れる。

 2人は埼玉県在住。武蔵野美術大学で、太田さんは建築、武政さんは油絵を学び、卒業後はそれぞれ作家活動を行っている。これまでグループ展への参加はあったが、夫婦2人での展示は初めて。「2人でやる意味や、共通で語ることができる言葉を考えた。一緒に作る案も出たが、最終的にそれぞれで制作することにした」。1カ月半ほど前から、週末ごとに松本へ通い、作業を進めてきた。「上と下でギャップを感じるところとつながりを感じるところがあり、うまく遊べたと思う」と太田さん。「どこか自分の展示ではないような感覚もあるが、そこが大事だとも思う。違和感が化学反応を生み出せば面白い」と武政さん。

 店主の茂原奈保子さんは「2人のアトリエへ行き、表現の幅広さを感じた。個々の作品なのに、対象までの距離の取り方など、どこかつながりや親和性がある」と話す。1階の「ホワイトキューブ」以外での展示は初の試み。「2階に上がると古さを感じるが、下りてくると1階の白が引き立つ。使いあぐねていた空間を2人が開いてくれた」

 同展では、入場料として400円を徴収。同店での飲食などに使える400円分のチケット(当日有効)と、2人へのインタビューを記したペーパーが付く。「演劇や映画と同じように、ギャラリーも一つの体験として、対価が発生するという考え方もあると思う」と茂原さん。「オープンから1年半、質の担保と存続、そして文化の根をはわせるためにも試行錯誤しながら取り組んでいきたい」とも。

 営業時間は、金曜・土曜・日曜=12時~19時、月曜・火曜=18時~22時。火曜・水曜定休。入場料400円(期間中再入場可)。12月3日まで。11月3日~5日、12月2日・3日は太田さんと武政さんが在廊する。12月3日には、美術家の豊嶋康子さんを迎えたトークセッションを行う。料金は1,000円(1ドリンク付き)、予約・問い合わせは同店まで。

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