松本・あがたの森文化会館(松本市県3)で6月11日、若者が教育について対話する場「Edcamp Youth(エデュキャンプユース)」が開催された。
「edcamp」は教育関係者が集まり、自分たちが気になるテーマについて話し合う場を設けるイベント。2010年に米・フィラデルフィアでスタートし、これまで世界80カ国以上の地域で1000回以上が行われている。県内では、今年4月に塩尻で初開催。その際、「若い人たちがもっと話せる場を作りたい」と意気投合した信州大学大学院教育学研究科1年・市川香織さんと、同大教育学部2年・松田明子さん、同大全学教育機構の有路憲一准教授が中心となって若手版となる「Edcamp Youth」を企画した。
当日は、現役教員や教員を目指す学生など約40人が参加。「教育は『正解のない問い』が多い。一人で考えると深みにはまることもあるので、皆で語り合うことで何かをかすめとってもらえれば」と有路准教授。「ラフな雰囲気で互いに学べる場になれば」と話した後、6つのグループに分かれて、トークセッションを4回行った。
参加者から挙がったテーマは、「教育のゴールとは」「良い先生・良い授業とは」といったものから、「輪に入れない子ども」「学ぶことに意欲のない子ども」の気持ちや接し方、芸術教育や食、ICT、教員採用試験の在り方や教員の負担軽減、長時間労働についてまで、多岐にわたった。ホワイトボードに貼られたテーマを見ながら、興味のあるグループの場所に自由に移動し、自らの考えを話し、他の人の思いを聞いていく。
「子ども主体、子ども中心の教室とは」というテーマについて話し合ったグループでは、「それは危険だ、駄目だということをどう伝えていくか」「何かを『やらせる』のではない、違うかたちのことを」「目の前の子どもの生活環境を把握して、一人一人に合わせて教えないといけない」などの声が集まった。「未来の教育」について話し合ったグループでは、「教科書通りの授業は嫌だった」「授業がつまらなくて、地図帳をずっと見ていた」といった自身の子ども時代を振り返りつつ、「子どもに寄り添うとはどういうことか」について考えを深めていた。
「参加者は、学生と社会人が半々くらいで、ちょうどいいバランスになったと思う」と市川さん。今後は県内各地で展開し、9月には塩尻で開催予定だという。「若い人たちが気軽に参加できる場として、盛り上げていければ」