松本・深志のアートギャラリー&カフェ「awai art center(アワイアートセンター)」(松本市深志3、 TEL 090-2427-4374)で現在、アーティスト・林友深さんの個展「ちいさくてみえない声」が開催されている。
「こぼれ落ちた小さい声に救いの手を差し伸べる」という意味を込めた同展。作品9点のうち4点は新作で、淡い色を用いた緩やかな線が幾重にも描かれている。林さんが普段から使っているスケッチブックやメモ帳なども壁面に展示。デッサンのほか、思いをつづった文章や、日常の何気ないメモなど、絵や文字が無造作に並ぶ。「林さんと話をすると、『持っているもの』がかなりあると感じる。それを解き放てる場をつくりたかった」と店主の茂原奈保子さん。手に取ることができるものもあり、長時間見ていく人もいるという。
林さんは神奈川県在住。自己や他者、夢と現実など「境界」を巡りながら、「絵を描く」行為を探り続けている。2年ほど前、茂原さんが東京にいたときに知り合い、「とても純粋なアーティストで、常に何かを描いている。画面になると力があるので、ぜひ松本でも紹介したいと思った」。県内では初めてとなる個展で、ホワイトキューブでの展示も初の試み。「かなり気合を入れて制作してくれた」と笑顔で話す。
通りに面したガラス戸には、林さんがグラスデコを施した。さまざまな線やイラストがステンドガラスのようにカラフルに輝く。「テーマは、林さん自身の挑戦でもあり、同時に見る人にとっても何かを投げ掛けている。問いと答えを見いだす時間を過ごしてほしい」と茂原さん。「トークやライブペインティングなどのイベントもあるので、『こぼれ落ちた声』を感じてもらえれば」とも。
作品は全て販売する。価格は4万円~。ポストカード=150円。営業時間は12時~19時(最終日は17時まで)。火曜・水曜定休。9月19日まで。9月17日には、林さんがライブペインティングを行う音楽とアートの融合イベントを「Give me little more.(ギブミーリトルモア)」で、18日には、林さんとアーティスト・村上慧さんとのトークセッション「みえない声をきく」を同ギャラリーで行う。