松本・沢村で6月25日・26日、リノベーションやリフォームを中心に手掛ける設計事務所「リスと設計室」(松本市沢村1、TEL 090-1869-6114)が、同事務所の移転とリノベーション事例の紹介を兼ねたお披露目会「Flat-House Renovation」を開いた。
リノベーションしたのは、1970(昭和45)年に建てられた8畳2部屋の平屋。一部屋は、通り側に新たに玄関を設けて土間とし、もう一部屋は明るい色合いのフローリングに仕上げた。天井を解体したら現れたという梁(はり)と土葺き(どぶき)の表情を生かし、小屋裏を隠さず見えるように。「強度を見るため解体したら、立派な梁と土葺きで驚いた」と同事務所代表の一級建築士・インテリアコーディネーターの横山奈津子さん。梁は、以前この敷地に建っていた蔵のものを再利用していたという。
「10年ほど空き家になっている平屋を活用できないか」と知人から相談があったのは昨年11月ごろ。調査をしてみると、耐震面など問題点が浮かんだが、「この周辺は空き家も多く、活用のモデルケースになるかもしれないと思った。難しさもあったが、それを超える面白さを感じた」と横山さん。今年4月ごろから改修を始めた。当初は、賃貸を想定していたというが、「空き家活用のヒントや、リビングスペースを使って人々が集う場になれば」と横山さんが借り、同事務所としても利用する。
横山さんは松本市出身。大学進学を機に県外へ移住したが、5年ほど前に戻ってきてリフォームなどを中心に手掛ける設計事務所で働いた。「もっと地域の人々と結びついた仕事をしたいと思っていたが、仕事が忙しくて実感が薄かった」と振り返る。昨年5月に独立。これまでも改修などをメインに行ってきたが、「ここまで大がかりなものは初めて。一つのモデルケースにしていきたい」
当日は、まきストーブで焼いたピザも振る舞われ、多くの人でにぎわった。横山さん自らが改修した部分を紹介したほか、「ビフォーアフター」の写真を興味深く見る人も。「あの空き家がこんなにきれいになった、という反応が多い。既に空き家活用の相談などもあった」と横山さん。今後は事務所として使うほか、ギャラリーなどとしての活用も考えている。「空き家活用の情報を集約できるような場になれば」とも。