安曇野の「ギャラリー留歩(るぽ)」(安曇野市穂高有明、TEL 0263-83-6785)で現在、画家・ミズテツオさんの個展「ミズテツオ展アンコール -画家とモデル-」が開かれている。
同展では2004年から今年までに制作した35点を展示する。作品は、油彩や水彩で人物を抽象的に描いたもの。2004年10月から12月にかけて毎日3~4枚のペースで描き続けた「女と男」は、選出した18点を額装して展示。シンプルに表現した男性と女性の体のラインと水彩が混じり合うことで、ラインににじみが生じ、より深い世界観を生み出している。展示しきれなかった作品はファイリングし、全て閲覧できる。
油彩の「おんな」は11点展示。キャンバスの上から和紙を貼り、油を抜いた油絵の具で描いている。「とても手間をかけて制作している。まるで日本画のような質感だが、よく見ると油絵特有の表現方法も見られる、不思議な作品」と同ギャラリー店主の米澤章雄さん。同展のメーンともいえる200号の作品は、小説家・岩井志麻子さんの作品からイメージを得たという。横たわる女性が黒く塗りつぶされ、女性の中にあるさまざまな感情を表現しているかのように見える。
ミズさんは東京都出身。国内外で広く活躍し、1998年の冬季長野オリンピックでは、フィギュアスケート会場(ホワイトリング)のエントランスに長さ32メートル・高さ6メートルの巨大な陶壁画を作成、現在も見ることができる。
同ギャラリーでのミズさんの作品展は4回目。親交も深く、さまざまな作品を展示用に提供してもらっているという。昨年12月に、ミズさんの作品を長きにわたって紹介し続けていた東京・銀座の「ギャラリー・しらみず美術」が閉廊。「『しらみず美術』の空間をここで再現したい」という思いと、その活動に感謝を込めて、タイトルに「アンコール」を付けたという。
「人の体をこのようにとらえるのは面白い。『フラッグシリーズ』など、ミズさんの代表作しか見たことがない人には新鮮だと思う」と米澤さん。「これからもミズさんの作品の発表の場として(展示を)行っていきたい」とも。
作品は販売も行う。営業時間は11時~17時。入場無料。4月10日まで。