安曇野の「ギャラリー留歩(るぽ)」(安曇野市穂高有明、TEL 0263-83-6785)で現在、大阪在住の版画家・伊藤亜矢美さん(32)による個展「おにぎり散歩・安曇野」が開かれている。
2006年~2011年に制作した34点を展示する同展。作品にはおにぎりをちりばめたものが多い。「おにぎりが好きなので(笑)。ほかにも座布団や動物など、自分の好きなものをどんどん組み合わせて構図を作る」と伊藤さん。胴体が大盛りのごはんの男の子と胴体が大きなおにぎりの女の子を描いた作品と、おにぎりや座布団や金魚の顔を持つ不思議な生き物が水中を漂っている作品には、どちらも「ホリデーお米」というユニークなタイトルを付けた。「タイトルは、制作中のときのことを思い浮かべながら付ける。構図もそうだが、『楽しい』『面白い』ものを作りたい」
作品にはさまざまなこだわりが。背景やおにぎりを巻くのり、登場人物の胴体などに施された細かい模様は全て手彫りで、模様をはっきり出したいときはそのまま刷り、うっすら見せたいときは薄い色で下地を刷り、その上に重ねて刷る。紙は福井県で作られる「越前和紙」を使用。「少し黄みがかった色。優しい雰囲気が出る」という。
同店の米澤章雄さん(65)が昨年11月、東京の「不忍画廊」で伊藤さんの作品を見たことから個展開催を依頼した。「どこか懐かしく親しみやすい作風に引かれた。細かい彫りを見るのも楽しかった」と米澤さん。「今までは落ち着いた雰囲気の作品展をすることが多かったので、開廊7周年となるこの機会に若い人にも見てもらえるような展示をしたかった」と話す。「行ったことのない安曇野で個展を開催できることがうれしかった。自然が多い安曇野に行けば次の作品につながるものをもらえるかなとも思った」と伊藤さん。不忍画廊の協力も得て開催が実現した。
「まだ暑い日が続くので、涼みがてらお越しいただければ」(米澤さん)、「散歩するようにのんびりできる空間づくりを心掛けた。楽しんでもらえれば」(伊藤さん)。
作品は販売も行う。価格は1万7,850円~。営業時間は11時~17時。入場無料。