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松本で「いのちをつなぐ海ものがたり」展-写真やイラストなどで漁業を紹介

初日に行ったライブペインティングの作品と著書を手にする矢田さん©ウチダゴウ

初日に行ったライブペインティングの作品と著書を手にする矢田さん©ウチダゴウ

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 松本・里山辺の「ブックパッカーのアンテナサイト」(松本市里山辺、TEL 0263-88-3787)で現在、イラストレーター・矢田勝美さんによる企画展「いのちをつなぐ海ものがたり」が開催されている。

写真やイラストが並ぶ会場内

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 今年2月に出版した、海をテーマにそこで働く漁師のことを紹介した「いのちをつなぐ海のものがたり」(ラトルズ)の出版記念巡回展。同書に掲載されている写真やイラストを中心に50点ほどを展示する。会場では展示初日に行ったライブペインティングの作品も展示。三重県鈴鹿市で半農半漁生活をしている矢田さんの両親と弟を追ったドキュメンタリー映像も上映する。

 現在、東京でイラストや執筆活動を行っている矢田さん。上京して「自分は何を描いていくべきか」と考えながら仕事をしていたときに「食べ物のイラストがいい」と言われたことがきっかけで、2004年に「自然をまるごとやさしいごはん」(ぶんか社)を出版。その後、「海」のことを伝えようと決意したという。「幼いころは両親の手伝いが好きじゃなかった。でも、海の幸の恵みを受けられなくなるかもしれないという危機感、漁師がいなくなる、海が危ない…そんなことを記録に残し、伝えていかなければならないと思った」と矢田さん。「使命感というか、私にしかできないと思った。私だったらどうやって伝えていけばいいのかと考えはじめた」。構想8年、紆余(うよ)曲折を繰り返して同書の出版にこぎ着けた。

 同サイト代表のウチダゴウさんが今年3月、大阪を訪れた際に矢田さんの展示を目にしたことが開催のきっかけになった。「まず絵がすてきだと思った。社会的な問題をチャーミングに描いているところに自分自身の活動と通じるものを感じて、すぐに連絡をした」とウチダさん。

 一次産業は高齢化が著しく、農業や漁業従事者の平均年齢は60歳を越える。「自分たちが生産者として働けるわけではないが、現状を知って何らかの行動を起こさないと、漁師が置かれる状況は厳しくなるばかり」と矢田さん。「海と山はつながっていて、例えば伊勢湾は長良川から恩恵を受けている。でも、今は最終的に海がゴミ箱状態になっている」と話す。

 「海のない街・松本で、磯の風景を見て思いをはせることで、時間とか空間を越えて感じるものがあると思う」とウチダさん。「海を感じに来てほしい。その延長線上で現状を知って何かを感じてもらえれば」とも。

 矢田家特製の伊勢湾産のり(あぶって食べるのり=1,500円、焼きのり=1,650円)や、矢田家産有機肥料米(白米1キログラム=600円)などの販売も行う。営業時間は12時~18時。入場無料。5月20日まで。20日には矢田さんによるトーク(海の幸ごはん付き)も開催する。参加費は1,300円。予約・詳細はホームページで確認できる。

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