松本のカフェギャラリー「LABORATORIO(ラボラトリオ)」(松本市大手1、TEL 0263-36-8217)で現在、陶芸作家10人の器を展示する「TABERU(たべる)」が開催されている。
同展は、神奈川県鎌倉市でギャラリー「うつわ祥見」を営む祥見知生(しょうけんともお)さんが「食べることと食べる道具(器)をつなげ、『食べることは生きること』と気付く機会を作りたい」とプロデュースした企画展。巡回展で、松本は東京と札幌に続き3カ所目となる。出展作家は、石田誠さん、尾形アツシさん、小野哲平さん、小山乃文彦さん、田谷直子さん、巳亦(みまた)敬一さん、村木雄児さん、村田森さん、横山拓也さん、吉田直嗣さん。
ギャラリー内には300点以上の陶器が並ぶ。作品は作家ごとには並べず、手に取った人が直観的に好みの器を選べるようにしている。北海道から高知まで、さまざまな土地で制作活動をしている作家が集まっただけあり、土や焼き方もさまざまで、質感や色も幅広い展開を見せる。
開催初日の19日には、カフェスペースで祥見さんによる「お話し会」が行われた。「器は食べるための道具。実際に手で包んで自分に合う器を選んでほしい」と祥見さん。参加者にさまざまな飯わんを渡しながら「ざらざらとした質感の器は使うほど光沢が出るし、光沢のあるものはどんどんマットな質感になり、存在感が変わっていく。器を育てることも楽しみとしてほしい」と話した。「高台は作家の個性が出る。器には裏の顔だが、ぜひ高台も注目して見てほしい」と器を見るときのポイントも伝えた。
後半は展示会場に移り、作家の紹介や、その作家のこだわり・製法などを話した。石田さんの磁器の作品について「磁器は1350度くらいで焼くが、石田さんは1100度くらいでじっくりと焼くため、ピンクがかった白になる」と話すと、参加者からは「へぇ」と声が上がった。
「人に寄り添った松本という街で開催できたことがうれしい。東京以上の反響かも」と祥見さん。「いい器には自然と手が伸びる。一緒にいて気分がいいと思える器を見つけてほしい」と話す。同会に参加するために新潟から来た遠藤久美さんは「祥見さんが本当に器が好きだということが伝わってきた。器を育てるのが楽しみ」と笑顔を見せた。
作品は販売も行う。カップ=2,100円~、皿=1,050円~、飯わん=2,520円~など。営業時間は11時~18時。入場無料。今月29日まで。24日には関連イベントとして大貫妙子さんのライブも開催する。詳細はホームページで確認できる。