まつもと市民芸術館・3階トップガーデン(松本市深志3、TEL 0263-33-3800)で2月2日、舞踏家・田中泯(みん)さんの公演「2007場踊り」(助成=芸術文化振興基金)が行われた。
同公演は2006年から行っているもの。「場所で踊るのではなく、場所を踊る」といい、振りや音楽を決めずに、その場で田中さんが1人で踊る。
先日から降り積もった雪が残る屋上で、音響で鳥の鳴き声や波音が静かに流れる中、黒い服と帽子を身に着けた田中さんは雪の感触を確かめるかのように踊った。雪を握って作った雪玉をフェンスに向けて投げたり、5メートルほどある長いのぼりのようなものを手にしたり、ゆっくりと雪の上に横たわったりと、「振り」の決められていない踊りを、観客は息を詰め、寒い中じっと見つめていた。最後は握った雪玉を「投げる?」と観客に問いかけたあと実際に投げ込み、約1時間の公演を終えた。
公演後は田中さんの希望もあり、座談会の場が設けられた。「舞台はたくさんの人が関わり、すべてをコントロールしている。今までは『階段を上り詰める』作業を行ってきた。今はそこを下り、何もコントロールしていない場所で踊りたい」と田中さん。質問や撮影にも気さくに応じ、「その環境で踊れる踊りを踊りたい。『さあ、踊ります』というのではなく、『私、踊っているんです』という人生を送りたい」と語った。