NPO法人「コミュニティシネマ松本CINEMAセレクト」は2月11日、「海炭市叙景」の上映会をまつもと市民芸術館（松本市深志3）で開催する。

　函館出身の作家・佐藤泰志さんの同名小説を映画化した同作品。舞台は、佐藤さんの故郷である函館をモデルにした海に囲まれた街・海炭市。造船所の大規模リストラで仕事を失った兄妹や、事業に失敗した男、妻に裏切られた男や、再開発による立ち退きを迫られる老婆といった、人生につまずいた人々の日々の営みを静かに見つめ、喜びや悲しみを描く。第84回キネマ旬報ベスト10で9位、第12回シネマニラ国際映画祭では、グランプリと最優秀俳優賞をダブルで受賞するなど数多くの賞を受賞している。

　同NPOは、1年で最も活躍し、映画ファンに至福の時間を与えてくれた映画人に贈る「松本CINEMAセレクト・アワード」に同作品を選出。「函館ロケで映画化したいという函館市民有志を中心とする『市民参加型の映画づくり』によって完成した2010年の日本映画を代表する作品。市民が単にエキストラ出演や撮影協力をするだけでなく、思想・信条に依らずに製作資金集めまで行った、日本映画史上極めてまれな試み」と同NPO理事長の宮崎善文さん。賞は、熊切和嘉監督をはじめ、函館市民、スタッフ、キャストなど製作に関わった全ての人に贈る。「映画づくりを通して地方を活性化し、地方から文化を発信していこうとする全国の地方都市にとって先駆的なモデル」（宮崎さん）。

　上映は14時から。上映前には同作品の脚本を担当した宇治田隆史さんをゲストに迎え、授与式を行う。チケットは、前売り＝1,400円、当日券＝1,800円（一般）、1,400円（学生）。