浅間温泉の「手仕事扱い処GALLERYゆこもり」(松本市浅間温泉3、TEL 0263-46-2066)で現在、陶芸家・田中一光さん(33)の個展「田中一光陶展III 茶器はじめ」が開催されている。
同ギャラリーでの個展は3回目。皿や鉢、カップなど定番の作品をはじめ、展示タイトルにもある茶器など約350点を展示する。田中さんの作品は鮮やかな青色が特徴。質感や濃さ、化粧土と釉薬(ゆうやく)の組み合わせ方などでバリエーションを持たせ、現在は12パターンの色展開で制作している。
「本格的に作るのは初めて」(田中さん)という茶道具は、茶わんをはじめ、抹茶を入れて茶席に持ち出すための器・薄器(うすき)や、茶席でお香をたくための香合などを展示する。青色と茶色が混ざった模様の茶わんは、単色展開の多い田中さんの作品群の中では珍しい一品。通常は混ぜてから使用する釉薬を、水と泥に分離した状態のまま作品を入れると、泥がついた部分のみ青色になり、つかなかった部分は地の土の色(茶色)になるという。「今までにないダイナミックなものができた」(田中さん)。
16日には、田中さんの茶器を使った茶席を企画。裏千家竹村茶道教室(安曇野市三郷)の竹村宗聡さんを招き、抹茶をたてた。竹村さんにアドバイスをもらいながら茶器を制作したという田中さん。竹村さんは「田中さんの茶わんは軽くて泡もたちやすい。他の道具もちょうどいい大きさ。これからもっと突き詰めて、さらに田中さんらしさが出る作品を作り続けてほしい」と笑顔で話した。
「定番になったものでも、常に『使いやすさ』を考えて制作している」と田中さん。「使っていて気持ちいいと思ってもらえる作品を作り続けていきたい」と今後の制作にも意欲をみせる。「茶道具は、お茶をやっていなくても触れられるいい機会なので、ぜひ気軽に足を運んでほしい」とも。
作品は販売も行う。皿=1,200円~、鉢=7,000円~、カップ=1400円~、抹茶茶わん=5,000円など。営業時間は土曜・日曜・祝日の10時~18時。10月31日まで。営業日は田中さんが在廊を予定している。