4月29日に始まった工芸イベント「工芸の五月」の一環として、「まつもと城下町湧水群」と工芸をつなぐプロジェクト「みずみずしい日常」で松本の街を舞台にさまざまな企画が行われている。
池上邸(松本市中央4)の蔵内にオープンした「池上喫水社」は中心市街地の7カ所の井戸のわき水を使ってコーヒーが抽出される様子を見ながら、実際に味わうことができる。8時間かけていれたコーヒー2種とプリンのセット(1,000円)を提供。薄暗い蔵内には、水出しコーヒーの装置7台が井戸と同じ位置関係で並ぶ。装置は昨年に引き続き、あづみのガラス工房(安曇野市豊科南穂高)の田中恭子さんが制作。「水の落ちる量を調節しやすいようにタンクを2つにするなど改良を加えた。水が落ちていくと『ポコッ』と空気の入る音がするので、静かな蔵内で音も楽しんでもらえれば」と話す。
松本美術館の情報交流館に設置した「旅行社みずのさんぽ」では、井戸やわき水、水路を巡り歩くツアーを提案する。館内には昨年のツアーの様子や水場の地図などを展示。暮らしを楽しむ街の使い方を提案・実践している「人場研(まんばけん)」(茨城県つくば市)と信州大学工学部建築学科の学生が、訪れた人にお薦めのツアー案内などを行っている。
5月1日に行われた「建築家とめぐる城下町水のタイムトラベル」では、松本美術館から裏町、松本城の東側を通って城内から縄手通りへ出るコースを案内。日本建築家協会JIA長野県クラブのスタッフの解説を聞きながら、15人ほどの参加者が昔の地図を手に歩いた。松本城の北側にある北門大井戸では、クラフト作家が制作し販売している「みずさじ」を使って井戸の水を口にする姿も見られた。
「池上喫水社」は10時~17時(カフェは13時~)。5月9日まで。「旅行社みずのさんぽ」は土曜・日曜の10時~17時。「建築家とめぐる城下町水のタイムトラベル」は5月23日・30日に開催。ほかにも期間中はさまざまなイベントが行われる。