松本のホール10周年で記念公演-初演の劇団がオリジナル脚本で

公演を終えた劇団ACTメンバー。

公演を終えた劇団ACTメンバー。

  • 0

  •  

 松本市を中心に活動するアマチュア劇団「劇団ACT」は3月20日~22日、ピカデリーホール(松本市大手4)10周年を記念した舞台「あの時たしかに僕はピカデリーホールにいた」を同ホールで上演した。

[広告]

 同ホールは1999年に、映画館から多目的ホールに改装。同劇団が初めて公演し、市内外で活動中の劇団の中で最も多く利用してきたこともあり、「ホール10周年の記念に」と、同劇団員の三井敦志さんと栗原正樹さんが同ホールを舞台にしたオリジナル脚本を書き上げた。

 ストーリーは、10年前の同ホールで公演中の劇団員が上演中に失踪(しっそう)。10年後に劇団員の子どもや家族たちが、当時一体何があったのかを探るために同ホールに集まるというもの。謎を探るうちに、失踪の原因となった劇「エニーウェア」は、「終わりのない芝居」だったことが分かる。「演劇バカ」の劇団員たちは、「このままずっと演じ続けていたい」という思いから、自ら「終わりのない芝居」を続ける決断をし、姿を消した。失踪の理由を知った家族や子どもたちは「彼らがそんなに熱中した『演劇』を、自分たちもやってみたい」と、同ホールでの上演に向けて立ち上がり、舞台は幕を閉じた。

 上演後、出演者があいさつし、客席にいた同ホールの支配人・堀内博さんにコメントを求めると「ちょっと難しい内容だったねぇ…」とポツリ。苦くも正直なコメントに劇団員や客席からは笑いが起こった。

 「(難しかったと言われたが)『分かりやすいように』と思って作ると、逆に分かってもらえないことがあった。だから自分が書きたいものを素直に書こうと思った」と三井さん。劇中劇「エニーウェア」の脚本を書いた栗原さんは「『エニーウェア』では毎日繰り返される「同じ生活」などから逃げようとするが逃げられず、結局同じ生活が待っている。自分も逃げたい時期があり、『リアル』と『リアルじゃないもの』の混合を表現したかった」と話す。

 同劇団主宰の林清美さんは「自分が芝居をやる意味、芝居に対しての姿勢を改めて考えさせられた作品。新しい気持ちでこれからの芝居に取り組んでいきたい」と意欲をみせる。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース