松本のギャラリーで地元作陶家が個展-地元の土で作品づくりに挑戦

「写真は苦手…」と作品と見つめ合う江間さん。

「写真は苦手…」と作品と見つめ合う江間さん。

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 作陶家、江間廣(ひろし)さんの個展「江間 廣 作品展」が現在、「ギャルリ灰月(かいげつ)」(松本市中央2、TEL 0263-38-0022)で開催されている。

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 江間さんが同ギャラリーで個展を開催するのは初めて。同ギャラリーオーナーの滝澤充恵さんが、江間さんの工房に訪ねたのがきっかけで知り合ったという。

 江間さんの作品はシンプルなデザインで落ち着いた色味。白地のテーブルに敷かれた麻布の上に並ぶさまざまな種類の作品は、ギャラリーの雰囲気にもなじむ。花器にはもみじや菊、器には赤実や柿など、季節感のあるディスプレーを施した。「ただ並べるより、こうした方が雰囲気が出ると思って」と同ギャラリーの草深牧子さん。

 東京出身の江間さんはサラリーマンの経験を経た作陶家。なかなか自分の思いが通じない仕事に疑問を抱き、14年勤めた会社を退職。備前(岡山県)の陶芸学校に入学し、卒業後は独学で作品を作り続けてきた。「昔から物を作るのが好きだったし、子どものころはどろんこ遊びが好きだった。焼き締めの陶器も好きだった。だから一大決心をして陶芸の道に入った」と江間さん。長年勤めた会社を辞めて陶芸の道を歩むことに家族も賛成。しばらく備前で活動していたが、17年前に東筑摩郡筑北村に工房と窯を構えた。

 江間さんが使うのは、筑北村本城、上田市染屋、備前の3種類の土。大小二つの窯を使い分け、7~12日間かけて、松割木のみで焼成している。中でも本城と染屋の土はまだ使用している作家が少なく、江間さんもまだ研究中の土。「染屋の土は、焼いたときに他の土よりも縮みやすく、割れてしまうことが多い。難しい土で成功は3割くらい…。でも、誰も挑戦していない土なので楽しみ」と話す。

 土の種類や焼き方で作品の表情はが変わるが、土の練り方でも変わってくるという。「あまり練らないと薄い茶色、練ると濃い色になる」と江間さん。来場者から飛び出すさまざまな質問にも、江間さんはひとつひとつ丁寧に答えていた。

 時間をかけて見比べ、迷った末に作品を購入していく客に「ありがとうございます。僕もこれはすごく好きな作品なんです」と声を掛ける江間さん。「1種類の皿でも濃淡や明るさによって違う表情になるので、選んでも楽しいし使うのも楽しみ」と購入者の女性はうれしそうに話していた。

 「土の良さを最大限に引き出せるように心がけて作っている。本城と染屋の土で生涯焼き物ができれば」と江間さん。「染屋の土の完成率も高めていきたい」とも。

 価格は、カップ=4,200円~、皿=2,100円~、花器=18,900円~など約200点の作品を展示・販売する。会期中の営業時間は10時30分~19時。入場無料。12月7日まで。

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